ドラマの撮影は常に分刻みで調整されているため、移動のロケバスの中でご飯を済ませることも多い。しかし、コロナ対策のために設定されたガイドラインでは、食事をする場合は十分な広さを持った場所を確保して、感染防止に留意することが義務化されたのだという。俳優の食事スペース、食事の時間をあらためて確保する必要があり、これによって失われる撮影時間は少なくない。
コロナショックを受けるなかで「救われたこと」
さらに俳優たちのスケジュール調整も容易ではない。主演や脇を固める人気俳優たちは1年先までスケジュールが決定している場合も多い。撮影が中断し、放送も延期している中でスタッフはどうやり繰りしているのだろうか。
「確かに人気俳優さんはスケジュールが先々まで決まっていることもありますが、この状況でその先の仕事も延期・中止になっている場合が多いんです。また、それぞれの現場同士で“困った時はお互い様”という精神で、こちらの仕事を優先してくれる方もいるので本当に助かっています」(前出の在京キー局関係者・A)
一方でこの中断期間があったことで、「脚本制作を進められたことが何よりも救い」だという。
「普段の連ドラでは脚本制作と撮影は同時並行的に進んでいるので、作品によっては脚本がまだ出来上がっていないから撮影が進まないなんてこともよくあるんです。ただ今回はこの中断期間にある程度、進めておくことができた。それによって、カメラワークといったプランも事前に話し合えるので、効率良く撮影ができそうです」(前出の在京キー局関係者・B)
安倍首相は5月21日、「25日にも専門家に状況を評価していただき、今の状況が継続されれば(緊急事態宣言の)解除も可能になるのではないか」という方針を示している。少し早めの解除も期待できるが、ドラマの撮影は6月スタートが堅いだろう。さらに6月に入ってすぐに撮影を開始できたとしても、初回放送まで踏み切れるのにはもう少し時間が必要で、過去のドラマの再放送はまだ続きそうだ。
ドラマの再放送に立ちはだかるいくつかの壁
ところで、好評の再放送ドラマだがそのラインナップはどのように決定しているのだろうか。
「最近始まった『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)は、“こんな時だからこそ、人と家で過ごす時間の大切さを伝えたい”という思いから再放送が決定したそうです。SNSでは過去の名作をという声を多く見かけますが、何より関係各所に許可を取るのが難しいので最近の作品に絞られてきてしまうことはあります」(前出の在京キー局関係者・A)
「許可取りの煩雑さもありますが、ハイビジョン映像を採用する以前の作品は画質が悪すぎてなかなか再放送に向かないものもあります。名作にはそんなことは関係ないですが」(前出の在京キー局関係者・B)