文春オンライン

リモートワークで大切なのは「衝突」だった――100人100通りの働き方を実現するために

『《働きやすさ》を考える メディアが自ら実践する「未来のチーム」の作り方』より#2

2020/06/03
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ツールの先には必ず「相手がいる」ことを意識

 ツールの影響範囲が自分だけなら、コントロールは可能です。情報やツールとの向き合い方を変えればいいだけですから。難しいのは、「自分以外の誰かとのやりとり」でもあるからです。自分が決めたスタンスだったとしても、仕事においては自分以外の誰かとの協調は避けられません。自分のスタンスを崩さずに、相手とも気持ちよくやりとりできるように、相手の状況や気持ちに寄り添うことが、いっそう求められるようになっていくと感じています。

 それはメールであろうが電話であろうが、チャットであろうがすべてに共通することだと思います。僕はサイボウズで働き始めてからほとんど電話を使わなくなっていますが、時にはオンラインコミュニケーションだけでは意思疎通が難しいと感じて電話を使うときがあります。

 その際も、まずはオンラインで電話できる時間を相手に確認するようにします。候補日と時間を複数出して、相手に選んでもらうようにする流れです。

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強まりつつある「即レス圧力」

©iStock.com

「それはやりすぎじゃないか?」と思う人もいると思いますが、依頼範囲や伝達内容を明確にして伝えたほうが、その後の不要なやりとりもなくせるという実感があるからです。

 今は「即レス圧力」が非常に強くなっていると思います。誰もが四六時中、スマホでメールやメッセージを確認できるので、受信側も「見てしまったからには返さないといけない」と感じ、送った側も「すぐに返信があって当たり前。返信がないのは怠けているからだ」と、無意識のうちに考えてしまっているのではないでしょうか。だからやりとりが遅れることで双方にストレスがかかる状態が増えています。

 僕も仕事での連絡をした際に「なんで返信がないんだ」「ちゃんと見ているのかな?」とメンバーの対応に不安を感じることがあります。けれど、そういうときこそ、返信が「ないこと」ではなく、返信が「できない状況」になっている可能性を考えます。