文春オンライン

リモートワークで大切なのは「衝突」だった――100人100通りの働き方を実現するために

『《働きやすさ》を考える メディアが自ら実践する「未来のチーム」の作り方』より#2

2020/06/03
note

自分の働き方を「みんなに知ってもらうこと」が必要

 サイボウズでは、100人100通りの働き方を目指しています。これは個人の働き方や生き方のスタンスを「自分で決めること」であると同時に、みんなに自分の働き方を「知ってもらうこと」が必要になります。

 例えば僕の場合は、勤務時間は8時30分~17時30分で、そのうち水曜日は毎週在宅勤務をするという働き方を自分で決め、チームに共有し、みんなにも認識してもらっています。同じようにチームメンバーのみんなの働き方のスタンスも共有してもらうのです。編集部のほかのメンバーは10~19時を働く時間と設定している人が多いです。そうすると、チームみんなで共通する時間は10~17時30分となります。1時間の休憩時間をとると、1日あたり6時間30分がみんなと一緒に仕事ができる時間です。

 ただ、それでも仕事はしっかりと回っていますし、むしろ「この時間帯だけで、どう仕事を終わらせるか」というマインドを持って行動できるようになりました。多様さを受け入れ、その中でどうすればチームとしての成果が出るかを考えて実践すること。このスタンスがあればチームでの共通理解はグッと深まっていきます。

ADVERTISEMENT

 そのためにも、どうすれば相手に伝わるコミュニケーションになるかを考える想像力が不可欠です。

オンラインでの衝突は歓迎すべきこと

©iStock.com

 ツールを使ったオンラインコミュニケーションの多くは、文字による書き込みのやりとりです。ただし、ちょっとした表現や言い回しによって、真意が伝わらなかったり、相手のミスリードを誘発したりすることもあります。それは、伝え方の工夫や何度も伝えるといったやり方で回避できるものですが、時に衝突が生じることもあります。

 サイボウズでは過去に「イヤホン事件」がありました。これは新入社員の実践研修中にイヤホンをして作業していた新人がいたことに対して、担当メンターが「イヤホンは外したほうがいい」と注意を促す投稿をキントーン上にしたところ、「何を懸念しての指摘なのかがわかりません」と新人側から真意を問う声が上がったものです。