「メディアは被害者の女性を割り出さないように」

 再逮捕から間もない4日の夕方に、捜査幹部によるレク(「レクチャー」を指す用語)が行われた。その概要を抜粋すると以下の通りだ。

・松永は弁録(弁解録取書)で「黙秘します。署名押印は拒否します」と言い、緒方は「私はしていません。名前も言ってないので署名、押印は拒否します」と言っている。

 

・41歳の被害者女性については、松永が結婚しようと接近。その際に松永は京都大学卒のエリートだと称していた。

 

・被害女性は、逮捕事実当時は35歳。

 

・犯行場所は現在別の人が入居しており、ガサ(家宅捜索)はうっていない。

 

・女性は脱出して腰の骨を折り、側溝を這いつくばるようにして逃げた。

 

・電気コードはすでに押収しているようだ。

 

・被害女性に松永は「ミヤザキ」、緒方は「モリ」を名乗っていた。

 

・(各メディアは)被害者の女性を割り出さないように。被害者は両容疑者の写真を見せたら震え上がり、まだ恐怖心を非常に持っている。

※写真はイメージです ©iStock.com

再逮捕前日も二転三転……急転直下の再逮捕

 今回の再逮捕について、私が「急展開」との言葉を使ったのには訳がある。じつはこの再逮捕の決定は、捜査本部内でもごく一部の限られた者にしか知らされずに、急転直下でなされたものだったのだ。

 再逮捕前日の4月3日、ある捜査員は福岡県警担当記者の取材に次のように語っている。

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「捜査本部の雰囲気は変わりない。起訴したことで一段落ついた。焦って足元をすくわれるようなことは、したくないということだろう」

 そして早期の再逮捕の可能性について問われ、次のように答えている。

「再逮捕については、特捜幹部の間で二転三転しているようだ。もうギリギリまで何(の容疑)でやるのか捜査員レベルではわからない。急転直下もあり得るし、じっくり1カ月、2カ月後にでも、ポンと再逮捕ということもある」

 だがその発言の翌日に、いきなり再逮捕という展開になったのである。当日4日の夜になると、なぜ捜査本部が急きょ再逮捕に踏み切ったのか、その真相が漏れ伝わってきた。これもまた捜査員の言葉だ。

「今日、署に出ると雰囲気が違い、再逮捕をやるという。昨日までは再逮捕はまだ先となっていたのに、なんでいきなり今日なんだと驚いたら、どうやら今日、被害者の女性から『被害届を取り下げる』と言ってきたらしい。この女性の松永と緒方に対する恐怖心は半端じゃなくて、本当に震えている。そこで捜査本部は慌てて再逮捕することにしたんだ」