元慰安婦を主人公にした映画を製作した映画監督も……
罵詈雑言は与党「共に民主党」の党員100人から成るグループ掲示板にも書き込まれた。また、元慰安婦を主人公にした映画を製作してきた映画監督も自身のフェイスブックにこう書き込んだ。
「昔から言っていたじゃないですか。(李)おばあさんはもともとそういう方。(中略)みなさんのおばあさんもそうでしょう。毎日ああ言ったりこう言ったり、寂しいからと怒ったりするじゃないですか」(現在は削除されている)
こうした応酬に進歩系紙も「李容洙ハルモニへ殺到する2次加害はいけない」(京郷新聞、6月2日)と警鐘を鳴らす。進歩層の論客で、昨年、曺国前法相騒動の際も進歩層を批判した陳重権前東洋大学教授は、「これが(共に)民主党の水準」と一蹴。さらには、進歩層が李さんを「土着倭寇」としたことに対し、前出の世論調査結果を受け、「では、国民の10人に7人は土着倭寇なのか」と自身のフェイスブックで進歩層を批判した。「土着倭寇」は「韓国に根付いている日本に協力する親日派」を指す言葉で、ほぼ死語に近かったが、最近、政争の場でひんぱんに使われるようになっている。
中道系の学者として知られる韓相震ソウル大学名誉教授はこうした現象を「国家権力と同じ側に立った進歩勢力が過度な『自己確信』で武装して敵と味方を分けて相手を排斥しており、憂慮される」(中央日報、5月28日)と語っている。
「金を受け取れば公娼になる」
李さんにつづいて、6月1日には「太平洋戦争犠牲者遺族会」が尹議員に辞退を要求する記者会見を行った。会見では、日本が「アジア女性基金」の案を提案した際、正義連と統合した当時の挺対協が日本の調査を妨害したことなどをあげた。また、「日本の『アジア女性基金』を受け取った者については、『その金を受け取れば公娼になる』『売女になる』と反対し、生計支援のカネさえも受け取らないようにした」(京郷新聞、6月2日)ことを明かしている。
この遺族会は1973年に設立されたもので、91年に初めて元慰安婦だと告白した故金学順さんも当初はここに所属していたという。慰安婦問題や徴用工問題などに詳しい弁護士は、「元慰安婦や徴用工、被爆者などの支援団体は40から50くらいあって、それぞれはあまりつながりがなく、協力的でもない」という。