かねて噂され続けてきた幻冬舎・箕輪厚介さんのセクハラ問題、やっぱりというか、文春砲がエイベックス・松浦勝人さんのネタのついでにブチ込んできて爆炎が上がり、関係者が総立ちになっていました。

 やはり、文春はこうでなければなりません。

箕輪厚介氏 ©文藝春秋

才能のある人物ではあるけれども……

 大前提で言うならば、箕輪さんは才能のある人物であり、その才能と隣り合わせに、人として駄目な部分、アカン行為があるわけでして、稼げる人物が聖人君子とは限らない、という過去の事例を見事に踏襲するのです。人間誰しも生まれ落ちた瞬間から罪を背負って生き抜いていかねばならず、人の成功も、挫折も、すべてはその人の内面に理由があるのでしょう。

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 箕輪さんの場合は、その問題が下半身にあったわけです。あくまで彼の才能を見て「ああいう人だけど、仕事はしっかりしているよね」と見るか、逆に「ほら見ろ、そんなに世の中うまくいくわけがねえんだよ」と煽るかは人それぞれです。

 そして、今回の箕輪さんの問題というのは、本人そのものがどうなのかというよりは、舞台装置がなかなか豪華であります。すでに報じられている通り告発者のA子さんは、そもそも幻冬舎から箕輪さんを担当編集としてエイベックス・松浦勝人さんの本を出すために仕事を請け負った、はずだった、というところからスタートしています。

首相公邸で安倍晋三さんや他経営者と写真

 エイベックスの社員でもあったA子さんは、松浦さん本人に取材を重ね、闇紳士を含む面白人脈から適法性が怪しい素敵薬物まで文春砲に爆薬を目いっぱい詰めてぶっ放したあたりに「やりおったか」感はあるのです。一方で松浦さんに関する告発記事が音楽業界大物ネタだったとするならば、箕輪さんはあくまでスター編集者とはいえ一介の雇われであり、業界的には単に目立つ実績のある人に過ぎません。

 しかしながら、その幻冬舎と言えば業界きってのアツい人・見城徹さんが率いる風雲児というか積乱雲のような出版社で、首相公邸で時の総理・安倍晋三さんや他経営者と一緒に写真を撮るような旺盛な権力欲をお持ちです。かと思えば、神戸児童連続殺人事件を引き起こした酒鬼薔薇聖斗の本を出そうとしておおいに物議を醸し、最終的に太田出版にぶん投げて遁走し業界的に大爆笑されるという事例もありました。基本的に、幻冬舎は単なる出版社というよりは見城徹さんが楽しくやりたい放題やるための器という意味において「見城組」とも呼ばれる不穏な組織体であるとも言えます。

幻冬舎の敏腕編集者・箕輪厚介さんによるセクハラ・パワハラ事件から、「才能」と「出版ビジネス」について考える。