業界最大手の芸能事務所「株式会社ワタナベエンターテインメント」。その常務取締役である大澤剛氏(47)が、自身がプロデュースした若手男性アイドルに対し、約1年間にわたって、卑劣極まりないわいせつ行為を含むセクシャルハラスメントに及んでいたことが「文春オンライン」特集班の取材でわかった(#1より続く)。
「僕と同じような被害者が出てほしくない」――被害者が真相を語った
大澤氏は既婚者だ。被害者のA氏(20代)が、記者の直撃取材に真相を語った。
「僕はもう事務所を辞めているし、本当は忘れたい過去なのです。が、これ以上、僕と同じような被害者が出てほしくない。何より大澤さんには、僕が何に傷つき、怒っているのかをわかってほしいです。
先にいうと、僕は大澤さんのことを恋愛対象として好きになったことは一度たりともありません。ただ、自分の芸能活動を大きく左右するプロデューサーとして見ていました。正直、彼の話に合わせるように、まんざらイヤでもなさそうなLINEを送り、媚びていたことはあります。僕も悪いところがあったと思います。
大澤さんは僕ら若手からすると神様のような存在でした。事務所スタッフは、みんな彼を『BOSS』と呼び、日々怒鳴られていました。普段、僕たちを怒るマネジャーも彼の前ではビクビクしていて、『大澤さんだけは怒らせるな』が口癖でした」
「『この人は怖い人だから媚びないと』って改めて思いました」
中性的なキャラクターで人気のあった細身のA氏は、おだやかな物腰で対応してくれた。A氏は、そのキャラクターから周囲の誤解を招くことがあり、スタッフや共演タレントともトラブルになっていたのは事実だ。アイドルグループとして活動していたが、A氏自身は2018年冬頃から芸能活動を諦めることを考えていたという。
「メンバーともうまくいかず、マネジャーにグループを抜ける相談をしていたら、大澤さんが直接、『俺が管理、教育する』と言ってきて、LINE(の連絡先)を交換しました。最初はマネジャーを含むグループLINEで会話をしていましたが、徐々に個人間でのLINEメッセージが多くなりました。
最初はある先輩タレントを『クビにした』といった話があったりして、『この人は怖い人だから媚びないと』って改めて思いました。自撮りの顔写真の画像を送ると、『かわいいね』と言ってくれるので、猫のように甘えるしかないと思いました。そうしたら『最近のAは少し好きかなぁ』って……」