「ひな祭り」もデザイン候補だった
――デザインを変える計画はいつからあった?
2013年からデザイン変更の検討を始め、文化・芸術分野で活躍されている有識者5名からなる「次期旅券冊子デザイン選定準備会合」を2015年に開きました。
富嶽三十六景のほかに、正月やひな祭りなど日本人が持っている原風景にも似た日本の情景や、空を飛ぶ旅を連想させる鶴、桜などの日本の季節を代表する四季の植物をモチーフとしたデザインといった候補がありました。それらの中から有識者に議論していただいた結果を受けて、岸田外務大臣(当時)がデザインを最終的に決定し、2016年5月18日に武藤外務副大臣(当時)が報道発表しました。
「富岳三十六景」を選んだ理由に関しては、「日本的なデザインをコンセプトに検討を行い、そのうち「富嶽三十六景」は世界的にも広く知られ、富士山をメインモチーフとし、まさに日本を代表する浮世絵であることから採用」したと説明している。
日本の場合、顔認証ゲートだとスタンプ押さないかも
――新デザインの評判は?
日本を代表する浮世絵のひとつである「富嶽三十六景」の作品を用いて、全ページ異なるデザインにしたことにより、見ていて楽しい気持ちになる、また、より日本らしいデザインになったとの高い評価をいただいています。
――パスポートを使い切ると「査証欄増補」で追加ページがもらえるけど、そのデザインは?
査証ページの色合いに合わせた唐草模様となっています。富嶽三十六景のデザインは使用しておりません。
――「スタンプを押してほしくない」という声もあるが?
パスポートは、安全かつ円滑に国境を跨いだ渡航を可能にするための「渡航文書」です。その査証欄は、査証を受けたり、貼付してもらったり、出入国の証印を受けるために設けられたページです。本来の目的をご理解いただければ幸いです。
なお、日本の出入国審査の場合、顔認証ゲートを利用するとパスポートに証印(スタンプ)を受けることなく出入国が可能ですが、国によってルール・仕組みは異なります。