「捕手は守備」なら森友哉は落第なのか?
では、逆の場合はどうでしょう。どんなに能力が高くても、投手陣が手薄なチームの捕手が「あいつのリードはうまいのに、ピッチャーが悪い」などと評価されることはまずありません。そのくせ、「勝利」という目に見える結果を残したとしても、「今日はピッチャーに助けられた」などと言われることは、しばしばある(笑)。
ジャイアンツの小林誠司あたりは、菅野智之や2018年まで在籍した(マイルズ・)マイコラスをあれだけ勝たせても、「ほかのピッチャーのときのリードが悪い」みたいな言い方をいまだにされているわけですから、そんな殺生な話はないですよね。
もともと評価基準がないに等しく、自分ではどうしようもない不確定要素に大きく左右されてしまうのが、捕手というポジション。毎年発表される表彰のひとつに『最優秀バッテリー賞』なるものがありますが、あれにしたって、選ばれるのは優勝したチームでいちばん目立つバッテリーか、そうでなければタイトルにからむほどの好成績を挙げた投手がメイン。どう転んでも、捕手が主役になることはありません。
防御率がリーグ最下位でも森友哉が評価される訳
だからこそやっぱり、自分次第でどうにでもなる「打つ」を重視すべきだ、というのがぼくの意見。いくら肩が強くても、投手がクイックモーションをしてくれなければ盗塁阻止率は上がりませんし、チームが弱ければ、勝つ(=評価される)確率も低いまま。その点、打てば確実に試合に出られて、自分で成績を残せますしね。
ライオンズの森友哉は、19年シーズン、盗塁阻止率2割8分3厘でリーグ最多の76盗塁を許していますし、パスボール12もリーグで最多。チーム防御率もリーグ最下位ですから、「捕手は守備」だとするなら、間違いなく落第ですよね?
でも、圧倒的な打力で首位打者まで獲った彼を、評価しない人はひとりもいない。それだけをとっても、「捕手は打つか、勝つか」が真理だと思うのです。
「キャッチャーは守備さえよければ、打てなくてもしょうがない」
そう思われているみなさん。それでは「名捕手」には100%なれませんよ!