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「亭主元気で留守がいい」沢口靖子、長澤まさみ、郷ひろみ…芸能界で“恐れられる”あの会社のCM

2020/06/18

沢口靖子の「だれが26やねん。ハハハ」

 1992年の蚊取り器「キンチョウリキッド」のCMでは、それまで二枚目俳優として売っていた近藤正臣が、タヌキの着ぐるみでスクーターに乗りながら「30日、30日、いっぽんぽん~」と歌って衝撃を与えた。「タンスにゴン」のCMでも、2000年から女優の沢口靖子が出演し、ひな人形に始まり、政治家などさまざまな役に扮しながら、毒舌や自虐めいたセリフを口走るのが話題を呼んだ。2005年のシリーズ最後のCMでは、沢口が本人役で登場し、ヘアスタイリング中に携帯電話で話しているというシチュエーションで、「タンスにゴンのCM契約終わってん。いつまでもアホなことばっかりやってられへんやろ。私もう今年で26やで。だれが26やねん。ハハハ」と、ひとりでボケとツッコミまでやってのけた。これらCMの印象からか、芸能界において金鳥は恐れられる存在でもあるらしい。ある大物女優に出演依頼するため、所属事務所に電話して「金鳥なんですけど」と告げたところ、マネージャーに10秒ぐらい笑われて、切られたこともあったという(※2)。

金鳥のCMでの自虐めいたセリフで話題を呼んだ沢口靖子 ©文藝春秋

「あーあ、おじいちゃん、また“死んだふり”してる」

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 金鳥はまた、老いや死など、CMではタブーとされるような要素もたびたび採用してきた。たとえば、前出の掛布出演の金鳥マットのCMでは、病院の老人たちが最後に「こう年をとると蚊も刺しませんなあ」と言うのがオチとなっていた。「タンスにゴン」でも、ちあきなおみが「おじいちゃん、ゴン、買ってきてくださいな」と頼むと、いきなりおじいさんは目を開いたまま倒れ込み、孫娘に「あーあ、おじいちゃん、また死んだふりしてる」と言われるCMがあった。ただし、これは放送されるやクレームがつき、途中で「寝たふり」とセリフが変えられている。それでもこれは例外的なケースで、金鳥としてはよっぽどのことがないかぎりクレームには謝罪しない方針をとっているらしい。これについて、金鳥宣伝部は編著で次のように説明していた。