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「#河野太郎ブロック解除祭り」の開催を期待する

 地位が人を作る、という言葉がある。河野を見ていると、どうしてもこの言葉が思い浮かぶ。

 河野は行革等担当相として初入閣した2015年10月7日を境に大きく変わった。それまでは超党派の議員連盟「原発ゼロの会」の共同代表として「脱原発」を主張してきたが、入閣した日に「脱原発」の主張が載ったホームページが「メンテナンス中」になった(河野は現在、「原発ゼロの会」を休会中)。

 就任会見で記者から脱原発の姿勢について問われると、苦しそうに答えた。

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「言うべきところはしっかりと言うが、政府の一員である以上、決まったことについては誠実に実行する」

 私はこれを「河野太郎の『中の人』宣言」だと捉えている。中の人、とは権力の中の人。大臣というポストを得て権力に同化することで、河野は戦うべき相手を見失った。

1999年、国会前で。大好きなベルマーレのユニフォームを着て ©文藝春秋

 それでも人々は河野太郎に幻影を見ている。援軍もいないのに、たった1人で強者に立ち向かいつづけた姿は、負ければ負けるほど強烈な印象を残したのだ。

 河野には、人々の心の中に「戦う河野太郎の残像」が残っているうちに覚醒してほしい。もともと、政策を語ることは嫌いではないはずだ。人々の思いを背負う覚悟もあったはずだ。地べたから上を見上げていた時の思いもあるはずだ。

 いま、河野太郎が牙を剥くべきなのは一般の人たちではない。人々の声に耳を傾け、人々を味方につけ、もっと強く、大きい者に立ち向かうべきだ。多くの人が河野太郎に期待しているのは、そこではないか。大臣の椅子に座る「お飾り」なら他にいくらでもいる。

 すっかり忘れていたが、私は2010年にも河野太郎にインタビューしていた。その時、河野太郎はこう語っていた。

「内輪の議論じゃなくて国民の中に打って出なきゃダメ」

 河野太郎は国民をブロックしている場合ではない。私は一日も早い「#河野太郎ブロック解除祭り」の開催を期待している。「次の首相」が見えてくるのはその後だ。

(文中敬称略)

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