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私生活に何の問題もない方が遊びがち

 第二に、男の傾向として私生活に何の問題もない方が遊びがちという性質がある。以前、コラムニストのトイアンナさんと話していた時に、彼女が非常にクリアに「男性は家庭に不満がない時に浮気しがち、女性は家庭に不満がある時に浮気しがち」と言っていたのだが、全く確かに男の遊びは、家庭が順風満帆で、これといった不満や不安がなく、妻との関係が安定している時に発症しやすい。家庭に不満があったり、妻の言動に不信や不安がある時には男は遊びに集中できず、妻を束縛したり、監視したり、DVしたり、モラハラしたり、ぶつぶつ文句を言ったりして時間を浪費する人は多い。

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 これもまた随分くだらない彼らの性質を表していて、男性や男性自身はデリケートなので、自分の人生や自分自身に揺るがない自信があり、俺ってうまくいってる! と思っている時ほど開放感がある上に、調子に乗りやすいのだ。女性の浮気に、彼氏への嫌がらせや当て付け、もしくは真剣に次に付き合ういい人探しの傾向があるというのは、実は彼女らの方が想像力があって、自分の浮気の影響力、つまり誰の自尊心が傷つき、誰を蔑ろにする行為かを理解しているから嫌がらせとして成立するということになる。男の浮気の傾向が、ひたすら自分の満足のさらなる上昇や調子に乗った精神状態での火遊びに寄っているのは、よく言えば無邪気、悪く言えば想像力の欠如した馬鹿で、自分の浮気が自分を満足させるという以外に何か効力があるものだと考えない性質を表している。

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「仕方ない、自分の蒔いた種です」

 そんなことから、美人の妻や彼女との生活に何の不満もないことと、雑な不倫を繰り返していたことは、彼らの都合の中では矛盾するどころか、セットになって初めて「全てを手に入れた万能感」をもたらすものなのであって、その思考回路はどちらに対しても失礼極まりない。本当に一部の男というのは、自分以外の生物に脳と心があることを忘却する能力に優れている。グルメトイレ男には、冒頭に引いた映画から、刑事の「仕方ない、自分の蒔いた種です」と言う言葉を送り、破天荒でも独創的でもない、陳腐な様を嘲笑うべきなのである。