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25年前のドラマ『愛していると言ってくれ』に夢中になってしまうのは、やっぱり“トヨエツ”のせいかもしれない

花火を使って手話……“キュンとするシーンたち”

2020/06/21

「愛していると言ってくれ 2020年 特別版」(TBS日曜午後2時~)が人気である。

 女優を目指す水野紘子(常盤貴子)と聴覚障害をもつ画家・榊晃次(豊川悦司)の恋は、25年も昔、1995年の作品ながら、今見てもまったく色褪せていない。今回、新たに撮った常盤と豊川のリモート対談(リモート同窓会)を加え「特別編」と銘打った再放送は、当時の豊川と常盤の目の覚めるような美しさと純粋さが視聴者を虜にし、SNSを中心に盛り上がりを見せた。6月21日(日)にいよいよ最終回を迎える。

常盤貴子と豊川悦司 ©︎AFLO

 25年前の本放送では、前半は20%前後だった視聴率が、中盤以降にグイグイと延びて、最終回は28.1%と高視聴率となった(ビデオリサーチ調べ 関東地区)。その勢いはいまだと「逃げ恥」や「恋つづ」みたいなものであろうか。それだけ紘子と晃次の恋のゆくえに目が離せない。

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 では、なぜ「愛していると言ってくれ」の恋は、多くの人を夢中にさせるのか。

理想的な主人公の悲劇性がドラマをより魅力的にした

「愛していると言ってくれ」の人気、最大の要因は、榊晃次を演じた豊川悦司の圧倒的な魅力である。高身長、端正な顔、演技が巧いと三拍子そろっていた。見た目と演技、どちらも兼ね備えている人はなかなかいないものだが、豊川はその稀有な俳優であった。しゅっとしたモデルのようなスタイルの良さで、第1話の初登場場面ではスーツを着こなし、その後は、大評判になる白シャツ、チノパン、サンダルが晃次のアイコンのようになる。かっちりしたスタイルもラフなスタイルも似合う。 

 ヒロインの恋の相手にこの上なく理想的な豊川演じる晃次は、聴覚障害者で耳が聞こえず、声を出すこともできない。それによって、恋人たちの想いはうまく届かず、恋は順風満帆にはいかない。しかし、その悲劇性がドラマを牽引するのだ。

愛していると言ってくれ(公式HPより)

 実は、この聴覚障害は当初、紘子の設定だったが、豊川自らが「逆にできないか」と提案したのだという。その時、彼の手のひらの大きさと美しさが魅力的で、プロデューサー・貴島誠一郎と脚本家の北川悦吏子が急遽設定を逆にすることを決定し、それが功を奏した。