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2020/06/21

花火を使って手話……“キュンとするシーンたち”

 ただ、その分、ちょっとした台詞や小道具、ひとつひとつのディテールには凝る。

 例えば、紘子の所属している劇団の稽古風景などは、へ~こんなふうに稽古しているんだあと興味深いし、ファックスで手紙のやりとりをしたり、背中に文字を書いたりするコミュニケーションはキュンとする。暗くなったら手話が見えなくておしゃべりできないから、花火を使って手話するなんてもう、ひれ伏したくなる。電車の使い方もニクイ。電車が紘子と晃次の間をシャッターする光景はなんとも甘酸っぱい! 大きな手のひらでおにぎりを握る豊川悦司の場面はよくぞ用意してくれました!

脚本家・北川悦吏子さん

コロナ時代に突き刺さる「愛してる」じゃなくて「愛している」

 誰かを大切に思って、その気持をまるごと直送したい。受け止めたいと思う気持ちが、何かに阻まれてもどかしい。この状況は、新型コロナウイルスで人と会えなくなったことに近い気がする。会えるようになっても密を避けないといけないというような状態で、会話するにもものすごく距離を取らないとならない。私たちはいま、紘子と晃次のもどかしさを奇しくも少しだけ体感している。物理的な障害を乗り越えて、心をどうしたら伝えることができるだろう。

「愛してる」じゃなくて「愛している」という「い」が入っているところもポイント。ちょっと古風というか丁寧で、今こそ、愛に真摯でありたいと襟を正させてくれる。

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