最近発表された与正氏の談話の内容を見ると、幼稚で未熟な部分があるが、行動力と推進力は優れているようにみえる。これまでの北朝鮮の素早い行動は、与正氏が経験不足ながら、党はもちろん、軍に対しても指示を下すことができるほど、確固たる地位を占めたことを示している」
文在寅政権支持率は急落した
連絡所事務所の爆破にショックを受けた文在寅政権だが、対北朝鮮の宥和政策が転換するまでには至っていない。
爆破翌日の大統領府での午餐会で、文大統領は重鎮たちに「忍耐しながら対話で解決しなければならない」と話したとも伝えられている。
与党内からも、「中断している金剛山観光や開城工業団地を再開すべきだ」「ソウルと平壌に南北連絡事務所を設置しよう」など、南北融和政策を持続すべきだという声が高まっている。
しかし、ここまで紹介してきたとおり、韓国の世論がこれを容認するかどうかは甚だ疑問だ。韓国と米国から経済的な成果を得られなかった北朝鮮は、予告どおり挑発の度合いを高めていくと予想され、それによって韓国内の世論はさらに悪化する可能性がある。
先の総選挙で圧勝した文在寅政権は、6月の国会で2018年の板門店宣言の「批准同意案」を推進する予定だったが、国民世論を考慮して一応保留した。与党「共に民主党」が主導した国会内の「朝鮮半島終戦宣言要求決議案」も急ブレーキがかかった。
コロナ防疫の成功で、上昇していた文在寅大統領の支持率も急落している。6月18日にリアルメーターが発表した文大統領の支持率は、先週に比べて4.6%も下落して53.6%となり、3月以来最低となった。
文在寅政権がこの危機を克服して「南北関係の改善」というレガシー(遺産)を成し遂げられるかは、今回の爆破でショックを受けた国民の北朝鮮に対する感情が大きく影響してきそうだ。