〈できることならやってみればよい。もしお前たちが挑発でもしたら、私たちも手加減するつもりはないからな! 一部の脱北者がビラをばらまくことには私も反対だが、それを言い訳に文句をつけるなら、覚悟はしなければならないだろう〉

 北朝鮮が6月16日、開城工業団地内の南北共同連絡事務所を爆破した。“南北交流の象徴”ともされた建物の爆破で、韓国国内では、北朝鮮に対する強硬ムードが急速に広がっている。冒頭で紹介したのは、文在寅政権寄りの進歩的なユーザーが集まるネット掲示板への書き込みだ。この書き込みには「いいね!」が82件付いていた。

親北・文在寅政権も「これ以上耐えられない」

 親北路線の文在寅政権も、爆破翌日の17日、政権発足以来もっとも強硬なメッセージを北に発した。

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「非常に無礼な語調で批判したのは非常識な行為だ」
「このような道理をわきまえられない言動に、我々としてはこれ以上耐えることはない」

 3日前に爆破を予告したのが、北朝鮮の金正恩委員長の妹、金与正(キム・ヨジョン)第1副部長だったことも、韓国国民にとっても大きなショックを与えた。

 与正氏は、2018年2月の平昌五輪の際に韓国大統領府を訪問し、文在寅大統領に金正恩委員長の親書を伝達して、板門店での南北首脳会談のきっかけを作った。

2018年2月、文在寅大統領と笑顔で握手する金与正氏 ©AFLO

 その後も文大統領と4度会うなど、南北の平和ムードを演出する場には決まったように微笑みを浮かべた与正氏が登場し、「韓国と一番親しい北朝鮮政治家」のイメージを作ってきた。韓国メディアが「平和のメッセンジャー」というニックネームまで付けたほどだ。

 そんな彼女が突然、微笑みの表情から豹変して、今年3月以降、「韓国当局と決別する時が来たようだ」と韓国を罵るようになった。文大統領を名指しにして、脅迫ともとれる発言を繰り返し、激しい言葉を連発する「毒舌の女王」に急変していた。

 そして6月13日、与正氏が発したメッセージが、「近い将来、役に立たない北南共同連絡事務所が跡形もなく崩れる悲惨な光景を見ることになる」という、連絡事務所の爆破予告だった。

 その爆破が実行に移されて、さすがの文在寅大統領も、与正氏に対する我慢も限界に達したようだ。