美しいものを目にできるとともに、清らかな空気も胸いっぱいに吸い込むことができて、そこに身を置くだけで気分を一新できる展覧会が開催中だ。

 東京六本木、シュウゴアーツでのアンジュ・ミケーレ「イマジナリウム」展。

 

静謐な絵画作品が場の空気を変容させた

 アートの世界には、インスタレーションと呼ばれる手法がある。ある場所によき按配で作品を並べ、その場の雰囲気を整えて、空間全体をひとつの大きな作品へと変容させるものだ。

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 その成否は、つくり手のセンスにかかってくる。うまく差配すれば、観る側を作品内にどっぷり浸らせるような深いアート体験をもたらせる。失敗してしまえば、見どころの定まらぬ「よくわからない展示」になってしまう。

「イマジナリウム」展は、見事な成功例のほうに属する。ギャラリーの展示空間全体が、凛として張り詰めた、それでいて懐かしさと温かみをも感じさせる空気で満たされているのだ。

 
 

 そんな特別な空気を、アンジュ・ミケーレは平面作品のみでつくり出しているところに凄みがある。