実は、7月6日に放送された特別編の前編に出てきた欧介からのプレゼント“カメレオン”によって桜子の呪いは解けている。高級アンティーク腕時計カメレオンを望んだ桜子だったが、欧介は勘違いしてアンティークのおもちゃのカメレオンを贈る。とぼけたおもちゃの表情を見たときの桜子の笑顔はこれまで見せたことのないものであった。はたして、大事なものは若さかお金か。
答えは、桜子が合コンで狙った獲物に語りかけるコトバにある。「たった一人の(運命の)人に巡り会えたような気がする」。恋のライバル・東十条(東幹久)や若葉(矢田亜希子)がどんなにいい人でもそんなの関係ない。「たった一人の」「運命の人」に「巡り会う」ことこそが大事。これがすべてで、これしかない。これさえあればラブストーリーというご飯はいくらでも食べられる。
20年前の作品『やまとなでしこ』と『愛の不時着』は似ていた
余談ではあるが、「たったひとりの人に巡り会う」こと――。これはいま中毒者が続出中のNetflixの韓国ドラマ『愛の不時着』にも共通する。『やまとなでしこ 20周年特別編』を見ていて再放送が久方ぶりにもかかわらず、なぜかこのノリに既視感を覚えたのは、桜子と欧介が『愛の不時着』のユン・セリ(ソン・イェジン)とリ・ジョンヒョク(ヒョンビン)と重なったからであった。高飛車な女と実直な男。違いといえば、ユン・セリは大金持ちで自ら会社を率いているが、桜子は客室乗務員として自立はしているもののお金持ちと結婚することを第一に考えていること。そこが大きな違いだが、ふたりとも心に穴が空いていて、それを埋めようともがいている点においては同じなのである。埋めてくれるのは、経済ではない。「たったひとりの運命の人」なのである。