『武器としての決断思考』などの著作や、教育者、エンジェル投資家として広く知られる著者は、昨年、47歳で惜しくも病没。本書は2012年に10代・20代の聴衆に向けて行われた講義を新書化したものだ。
絶対的な答えを求める態度を否定し、自分で決めるための「武器」を持つ重要性を熱く語る。ほかにも交渉は条件を見極めながらすること、前提の違う人と仲間を作ることなど、著者が衰退に向かう日本社会を変えるために求めることは実践的で本気の内容ばかり。
「著者が亡くなられた直後、2冊の本を共に作り上げた編集者として、追悼文の代わりに新しいコンテンツを送り出し、著者の思考の遺伝子を繋ぐべきだと考えました。そこから講義のちょうど8年後、著者と聴衆が再会を約束した日までに本を出すことにしたんです」(担当編集者の柿内芳文さん)
著者は投資家として、2020年まで日本の可能性に賭けようとしていた。その日までは本気で日本を変える努力をしてみようと。
「2012年は、著者が活動の幅をさらに広げようとし始めた頃でした。充実した時期に、東京大学に完成したばかりの新鮮な会場で、未来ある優秀な若者が相手という状況もよかったのか、語りがノリノリです。ある意味、著者の最盛期の記録になったと自負しています」(柿内さん)
聴衆と同世代にくわえ、子供に渡す親需要も大きい。
2020年4月発売。初版3万部。現在3刷7万部