コロナ禍の中、去年に続いて2020年も記録的豪雨が続いている。2019年のケースでは、ライフラインの回復に時間がかかるケースが相次いだが、今年はどうなるのか? オール電化住宅、スマホ一元管理といった最新のライフスタイルにはどんな対策が必要? 防災のプロに取材した。

九州での豪雨のあと、熊本県人吉市で店から泥を運び出す女性 ©時事通信社

日本に近づく台風や大雨は巨大化、激甚化の傾向

 災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏によると、このような極端な気象は「今後も増加する」という。

「日本に近づく台風や大雨は巨大化、激甚化の傾向にあります。気象庁のデータでも、1時間の雨量が50ミリを超える大雨の発生回数が、40年前の1.5倍に増えているという記録が示されています。また19年の災害で露呈したのは、比較的整備が進んでいる都市部においても、治水のインフラ整備の能力が、最近の気象の変化には対応できなくなっているということです」

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 とはいえ、備えは何年も前に購入した防災リュックのみという人も多いのではないだろうか。そこで「被災に備えて」「被災したら」という両面から、プロが実践する最新防災術を紹介していきたい。

水の備蓄は 500mlペットボトルを96本

 前出の和田氏は、前職はアウトドア雑誌の編集者。アウトドアやキャンプの備蓄食料、生活用品を備えておけば「防災用にも流用できていい」と言う。

「量の目安は“1週間プラス3日分の水と食料を用意しておき、残り1週間分になったら補充”というペース。水は一人1日3リットルの計算です。私はクリスタルガイザーの500mlペットボトルを96本ずつ備蓄。48本に減ると買い足しています」

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ほぼ配給がされない生理用品・化粧品

 いざ避難所で過ごすことになると、プライバシーのない空間での寝泊りは女性にはつらい。

「アイマスクや耳栓は健康被害対策としてマスト。インフルエンザやノロウイルスなどの感染症が蔓延しますので、消毒用のウェットティッシュやマスクも必要です。女性の場合、意外に重要なのが生理用品や化粧品。なかなか配給されないので、避難袋に一定量を入れておきましょう」(同前)

 避難所では盗難が横行しがちなため、持ち物には名前を書くといった自衛手段も必要だという。

「避難所に行くのは自宅周辺に危険が及ぶと予測される場合、そして自宅が使用不能になった場合です。小さなお子さんや高齢者がいる場合はより早いタイミングでの安全確保を」(同前)