タワマンは上の階ほど資産価値が高いといわれるが……
2019年の台風19号による豪雨では、神奈川県川崎市の武蔵小杉駅前のタワーマンションが停電で大混乱に陥ったことも、クローズアップされた。雨水などが下水道から逆流する「内水氾濫」が起き、地下の電気室にあった電気設備が浸水したため停電。水も止まり、エレベーターやトイレが使えなくなった。
住宅ジャーナリストの榊淳司氏が解説する。
「タワマンは、上の階ほど資産価値が高いといわれていますが、停電になると大変です。災害時に自家発電で動く緊急用のエレベーターがあるタワマンも多いですが、エレベーター操作が出来る管理会社の人が被害に遭って駆けつけられない場合もありますし、確実に動かせるとは限りません」
マンションを買う、あるいは借りる際、電気室の場所はどうやって確認すればいいのだろうか。
「購入する際の契約図面に全体計画図が必ずあり、各階の平面図に電気室の場所も書いてあります。大抵の場合、住戸にも管理室にも駐車場にも使えないような場所に設置するため、最下階にあることが多い」(同前)
また、近年急増した「オール電化住宅」の場合は、停電時はやはり何もできなくなってしまうのだという。
「オール電化の家は、停電時にはすべての機能が止まってしまい、生活が困難になります。電源停止に備えてガスなどの代替燃料や備蓄バッテリー、ソーラーまたはハイブリッドカーからの電力供給などの対策をとっていれば、逆に停電しても一定時間同様の生活が可能になります」(和田氏)
災害に強い土地、住宅の見つけ方
災害に強い地域、住宅はどう見極めたらいいのだろうか。
地理空間情報アナリストの遠藤宏之氏は「水害に備えるならハザードマップを見ること」と言い切る。
「ハザードマップとは、災害を防ぐことに特化してつくられた地図で、シミュレーションに基づいた被害の予測と、避難所の場所などが載っています。マップは各市町村が発行し、基本的に全戸配布しています」
マップは、各自治体のサイトでも大抵見られる。
前出の住宅ジャーナリストの榊氏は、実は家選びで失敗しているのだという。
「18年前に江戸川区に戸建てを買いましたが、今ハザードマップを見ると確実に浸水する場所で、区からも『ここにいてはダメです』といわれている地域です。でも現在のようにハザードマップが見られるようになったのは、僕の感覚だとこの4、5年のことで、購入時は深く考えていませんでした。江戸時代から陸地でしたし、地元の人に聞いても『水害は聞いたことがない』と。価格も安かったので買いましたが、今なら選ばないですね」