1日あたりの新規感染者が都内で過去最高を更新し、「コロナ第2波到来」が現実味を帯びる中、国内で唯一、すでに第2波を乗り切っているのが北海道だ。

 感染拡大防止と経済再開の両立を目指し、旗を振る鈴木直道知事(39)は、これまでメディアの個別対応を控えてきた。今回、筆者のインタビューに応じ、ここまでの5か月を振り返った。

1月28日に最初の陽性者を確認

「新型コロナウイルスが北海道で最初に確認されたのは、1月28日のこと。中国・武漢から観光に来られた40代の女性でした。6月末現在、道内での陽性者数は累計で1263人、死者は99人と、いずれも全国の約1割に上ります」

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鈴木直道・北海道知事

 こう話す鈴木氏は、昨春に全国最年少知事として就任してから9か月で直面したコロナ禍で脚光を浴びた。私たちはもう忘れかけているが、3月半ばまでは、全国で最も感染者数の多い地域の首長だった。

 道内で感染第1号が見つかり、そして広がりを見せ始めたのは観光シーズンの目玉イベントである「さっぽろ雪まつり」が開催された時期(1月31日~2月11日)にあたっていた。

4月初旬から北海道を襲った“第2波”

「これは大変なことになるかもしれない」――当時、鈴木氏はそう恐れを感じたと振り返る。衝撃だったのは、感染者が人口の多い札幌でなく、根室や旭川など道内に広範囲に散らばっていることだった。

 その後、北海道にやってきた感染者数の「波」のピークは2回。2月終りから3月初旬にかけて小さな山があり、その後、4月初旬から後半にかけ、再び大きな山に見舞われた。

閑散とした札幌駅前の地下歩道(2月29日) ©時事通信社

「全国的には、収束した流行がぶり返すという意味で、『第2波』という表現が使われます。これに対し北海道では、全国に先行して『中国由来の第1波』とされる流行が起こりましたが、いったん3月に一定程度、抑え込むことができました。ところが4月初旬から、『欧州等由来の第2波』に襲われたのです。この第2波は、新規感染者が1日最大45人と第1波の時の3倍に上り、患者数が病床数の限界に迫りました。2つの波がほとんど期間を空けることなく到来したことで、行政を預かる私としては、このウイルスの感染拡大防止対策の難しさを、痛感させられることになりました」