昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

「東京美々卯」まさかの閉店……天龍源一郎が語った思い出「スタン・ハンセンもばくばく食ってたよ」

2020/07/18

「銀座を飲み歩いてた昔、なじみのクラブである人を紹介されたんですよ。聞けば、これからオープンする美々卯・渋谷マークシティ店(2000年開店~2019年閉店)の店長になるって言う。その時は『うどんすきか……』って感じでうっちゃってたんだけど、彼が店長になった後、ひょんなことからお店を訪れる機会があったんでいただいてみたら、想像よりはるかにうまかったんだよね」

“銀座の夜”が取り持った「東京美々卯」との縁を明かすのは、業界屈指の酒豪で鳴らした元プロレスラー、天龍源一郎氏である。

美々卯愛を語る天龍さん 

新型コロナの影響で関東各店はすべて閉店

 東京美々卯とは、名物「うどんすき」で知られる大阪の老舗『美々卯』からののれん分けで、1973年から同店を関東で展開してきた会社だ。

 しかし同社が運営していた東京、神奈川、千葉の6店舗は、今年5月20日をもってすべて閉店した。

 大阪美々卯のホームページによれば、新型コロナ禍に伴う外出自粛の影響で関東各店の売り上げが落ち込み、東京美々卯の経営陣が協議した結果、事業継続が困難であるとの判断に至り、関係者に迷惑のかからぬよう、手元資金が充分あるうちの店じまいが決まったのだという。

 その東京美々卯を20年に渡って愛してきたのが、天龍氏だ。

 現役時代から公私で関わりが深かった各店の思い出を、惜別の念とともに『ミスター・プロレス』に振り返っていただこう。

 

「俺の好みにぴったりハマった」

 1976年に大相撲からプロレスに転向して以降、実は天龍氏は長年、外食時に鍋物を選ぶことがほとんどなかった。

「力士時代は毎日ちゃんこだったからさ、鍋はもう食べ飽きちゃって」

 ところが、美々卯のうどんすきは違った。

「鰹と昆布で取った上品でまろやかな出汁が、俺の好みにぴったりハマった。具の種類だって多くて、いろいろ楽しめる。もちろん、肉や魚介や野菜のうま味と出汁が染みたうどんも、たまらなくいい。最後まで煮崩れずにコシが残ってるし」

 さらに具を各自の小皿によそった後も、他の店とは違う美々卯独特の流儀がある。もみじおろしとすりおろし生姜とねぎを散らし、レモンを少し絞り入れるのだ。

「意外な組み合わせだけど、これが見事に出汁の風味とマッチする。ああいうよそにはないひと手間があると、何か特別なものをいただいてる感じがするよね」