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3児の母、広末涼子40歳に 「フザケンな!」21年前、早稲田大初登校は“事件”だった

2020/07/18

genre : エンタメ, 芸能

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引退を考えて……「15キロ以上体重を増やした」

 彼女が哲学に関心を持ったのは、過熱するブームのなかで自分を見つめ直そうという思いもあったからではないか。実際、高校から大学に上がるころより、ヒロスエという名前だけがひとり歩きして、自分が取り残されたような感覚があったという(※5)。2001年にはフランス映画『WASABI』に出演したが、憧れていたリュック・ベッソン監督や俳優のジャン・レノと一緒に仕事をするなかで、日本の芸能界の矛盾みたいなものも見えてきた。子供のときから憧れていた芸能界なのに、だんだん汚れた世界に思えてきて、引退も考えるようになる。そこで人に迷惑をかけずにやめるにはどうしたらいいかと考えた結果、太れば当時何本も抱えていたCMの契約も継続されないと思い、とにかく食べまくって15キロ以上も体重を増やしたという。本人はこのことを今年1月に出演したテレビ番組で笑いながら告白したが(※5)、当時の彼女からすれば本気で思い詰めていたのだろう。結局、2003年に最初の結婚をして子供も儲けたことで、約2年半、芸能活動を休止する。

2001年、映画「WASABI」記者会見で。ジャンレノと ©文藝春秋

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 この休業中、あらためてドラマや映画を観る余裕が生まれた。子供を寝かせたあとなどにドラマの再放送を楽しんだりするうち、「私、好きだからやってたのに、好きだったことを忘れていたな」と気づき、初心に帰ることができたという(※5)。こうして2005年、ドラマ『スローダンス』(フジテレビ系)で本格的に芸能界に復帰。2008年には『秘密』と同じ滝田洋二郎監督の『おくりびと』でデビュー以来初めて妻の役を演じた。同作は米アカデミー賞の外国語映画賞を受賞するなど国内外で高く評価される。2014年に主演したドラマ『聖女』(NHK総合)では、脚本家の大森美香と話し合いながら主人公像をつくっていくなど、演じるだけにとどまらず作品づくりにも積極的に携わるようになった。一昨年のインタビューでは、《30代になって、役の幅がすごく広がったなと思います。女優というお仕事は、常に初めてのことがあるので、飽きるということがない。役を通して、たくさんの経験をする中で、女性としても人間としても、豊かにさせてもらっている気がします》と語っている(※6)。