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2020/07/18

genre : エンタメ, 芸能

広末がSNSもブログもやらない理由

 彼女が仕事について語る際、よく出てくるのが「まっさら」という言葉だ。たとえば、2009年のインタビューでは《いつも自分は真っさらでいて、求められた役に合わせていかに色を変えていけるか、ということを大切にしていきたいんです》と述べている(※7)。さらに今年1月、出演した映画『嘘八百 京町ロワイヤル』の公開時の記事でも、《こういう役がやりたいという意思を持ってもいい年齢なのかもしれませんが、私自身は“セルフプロデュース”にはなりたくないんです。それよりも“どんな色にもなれる女優”と思ってほしい。/まっさらな状態から、ビジュアルや技術を駆使して、役に真実味を与えられるような……》と発言している(※8)。

映画『おくりびと』に出演した2008年 ©文藝春秋

 いまやタレントも俳優もみんながSNSなどを通じて自身のキャラやイメージづくりに努めるなかにあって、広末の姿勢は珍しいといえる。そもそも彼女はSNSだけでなく、ブログもやっていない。これについて、前出のテレビ番組では、ヒロスエブームのころ、他人に誤解されないよう何事も言葉を選んで発言するようになって以来、自分から発信することが怖いからだと説明していた(※5)。一方で、別のところではこんな理由もあげている。

《私が憧れてきたこの世界や女優という職業の“スペシャル感”を壊したくないから。2000年前後から、ブログとかで芸能人がどんどんプライベートをオープンにするようになっていると思うんですけど、私はもうちょっとテレビとかスクリーンの向こう側の存在でいたいんですよね。それに、女優の仕事を考えると、リアルな生活感を出しすぎるのってよくないじゃないですか。「あの人、3人子供がいるんだよ」っていう情報が前に出すぎると、恋愛ドラマはちょっと……(苦笑)》(※9)

©文藝春秋

 これは一昨年の発言だが、その後やや心変わりしたのか、先の番組では子供についても結構話していた。それでも、女優としての姿勢に変わりはないだろう。同じ番組では、女優復帰を決めたときの心境として、「もしチャンスがあれば、どんな作品でも応えたいし、自分が素材になれるのであればまたトライしたいなと思って。そこからすごく変わりましたね。一生ものだなと思えるようになりましたね」と語っていた。かつてヒロスエというキャラがひとり歩きして自分を見失ってしまった彼女だが、女優とはどんな色にも染まれる素材だと捉え直すことで、ようやく自分を取り戻せたということなのだろう。

 ところで、このとき広末が口にした「一生もの」とは、かつて歌手でもあった彼女の「ジーンズ」(1998年)という曲に繰り返し出てきた言葉でもある。そのことを思い出して、ヒロスエ世代の筆者は胸にジーンと来たのだった。

※1 『週刊文春』1999年7月8日号
※2 『文藝春秋』1999年9月号
※3 『週刊朝日』2013年4月19日号
※4 『週刊文春』2008年8月28日号
※5 『サワコの朝』2020年1月25日放送
※6 『週刊朝日』2018年1月5・12日号
※7 『GALAC』2009年2月号
※8 『GOETHE』2020年1月30日配信
※9 『週刊プレイボーイ』2018年7月23日号

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