「屋台をやろうかな」と本気で考える
一方で、昔から起業家マインドがありました。
リクルートで鍛えられた面もあるのですが、それ以前から自分で何か事を起こすというのに関心があったんですね。
まず考えたのは屋台をやろうかなということでした。タイのビーフンをぼくの父親が日本人の舌に合わせておいしく作っていたんですね。うちの家族も含めてそのビーフンにハマっていた。「もしかしたら、これを大きく展開できるんじゃないか」と思って、会社から帰ってきて真剣に調べていました。夕方から屋台を駅前で引いて、売ったらどのぐらい売れるのかな、と。
この構想は挫折してしまったのですが、屋台から始めてそれを最終的にカップ麺にして売るという事業計画を本気で立てていました。もしあのまま突き進んで、屋台をやっていたら、今のぼくはいなかったかもしれないですね。
つらい仕事からの逃げ道探し
とにかく1年目は挫折の連続でした。重たい営業カバンを持って「ここから先の自分の姿が想像できない」と思いながら仕事をしていました。
ストレートに言っちゃうと、逃げ出したいわけです。やっぱり営業はつらかった。何か抜け出すきっかけを見つけようとしていたんです。
そんななか、自分の兄が当時JETROに勤めていて、たまたま「アメリカにMBAというものがあるよ」と教えてくれました。ビジネスを教えてくれる大学院のコースがある、と。単純にぼくの中で「なんかこれ、いい逃げ道になるな」「MBA ってかっこよさそうだな」と思いました。当時は、すごく浅はかな思いからMBAをとろうと思い、会社の留学制度に応募することにしました。
留学の選考基準は、明確には書いてありませんでしたが、やはり業績が評価されている人が選ばれることになっていたと思います。そこからぼくはすごく必死に営業活動をがんばるようになりました。ときにはトップ営業マンにもなりました。人って、モチベーションが生まれるとすごい力を発揮するものですね。
(【前回】ツイッター社長に聞く「そもそも就活のとき、なぜリクルートを選んだのですか?」 を読む)
構成=竹村俊助 @tshun423
写真=杉山秀樹/文藝春秋