昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2020/07/25

テレビの弱体化が参入の追い風に

 自己アピール、ビジネスとして、芸能人YouTuberが参入していった背景には、テレビが年々弱体化していることも影響している。

 スマホの普及、長期に渡る景気の停滞、コンプライアンスの強化など、テレビが新しいソフトを生み出すには厳しい状況だ。そのうえ、芸人の絶対数は相変わらず膨大で、ポジション争いは熾烈を極めている。

 その点、YouTubeはチャンネル登録者数や動画再生回数によって収入を確保でき、自己アピールの場としても機能するメディアだ。タレントが参入するのは必然と言える。

 加えて、今年に入ってベテラン勢たちがYouTubeに進出した背景には、2019年8月に公正取引委員会が芸能界の移籍や独立後の活動制限を“独占禁止法違反”とする見解をまとめた影響も大きい。このことで、独立する芸能人が増え、事務所による活動制限が緩やかとなり、YouTube進出に拍車をかけた部分もあるだろう。

 さらに新型コロナウイルスの感染状況によっては、今後も舞台やテレビでの活動が制限されるかもしれない。これまでネットにアレルギーのあった芸能人も、YouTubeを活用せざるを得ないケースが出てくるだろう。そこで新たな可能性に気づき、面白いコンテンツが生まれることも考えられる。

 風通しのよいコンテンツがネットから生み出される中で、潤沢な予算で組まれたYouTubeチャンネルが開設される日もそう遠くないのかもしれない。テレビと同様のセットの中でユニークな企画が配信される、という逆転現象が起きる可能性もあるだろう。

YouTubeチャンネルを開設した石橋貴明 ©︎文藝春秋

 現在の芸能人YouTuberは、その過渡期を体現している。一部からは、「YouTubeの時代は終わる」との声も聞こえてくるが、これに取って代わるような新しいメディアが登場する気配は今のところない。テレビとYouTube、そしてタレント活動はどう変化していくのか今後も注目していきたい。

この記事の写真(7枚)

+全表示

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー
z