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 当時の辛かった思い出が脳裏に蘇る。しかしミスターマリーンズはハッと気が付いた。そうだ! 今は時代が違う。スマートホンでパスワード画面を写真に収めれば済むではないか。だから再開した。リメイク版をやればそもそもセーブ機能がついているとか、画面も綺麗とかいう野暮な議論はここでは止めておく。初芝氏は当時のゲームをプレーしたかったのだ。

「やっぱりオレはファミコン世代だからね。ドラクエⅡをクリアしてから今度は戻ってドラクエⅠをクリアした。いやあ、野球に似ているよね。積み重ねることの大切さ。経験値の大切さ。練習と一緒だよね。ハマったねえ」と初芝氏から今さら感溢れるコメントが次から次へと飛び出した。ちなみにその後は日本を代表するもう一つのRPGの名作「ファイナルファンタジー」シリーズと交代ごうたいでプレーをしており、8月11日現在はドラゴンクエストⅦまで到達している。もちろんリメイク版ではなく当時のプレイステーション版である。

初芝氏が注目をしている選手は

 現役時代にヘビメタを爆音で聞くために新築に作り上げた地下室は家族で楽しむカラオケルームを経て現在は初芝氏のテレビゲームルーム。一日、こもる事もあるという。そんな初芝氏が注目しているロッテの選手はプロ3年目、売り出し中の安田尚憲内野手だ。自身も現役時代に三塁を守っていたこともあり、気になる存在だ。

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「安田は楽しみだね。打撃はもちろんいいけど、一番驚いたのは守備が上達していることだね。思ったよりも早く普通に守れるようになってきたよね。レギュラーになるにはどうしても守備の安定感が必要。ボクはファーストもサードも守った事があるけどフライはサードの方が難しい。全然違う。サードは風の影響でボールが上がってから落ちてくるまでに軌道が変わる。見ている人からしたら追いかけている方向が違うよと思うかもしれないけど、軌道がコロコロと変わっているんだ」

 話の軌道もずいぶんとコロコロと変わってしまった。井上の1試合3発から初芝氏の札幌での3打席連続本塁打にホテルのお風呂。続いてドラゴンクエストから復活の呪文。ヘビメタ、カラオケルーム、そして安田である。これからは日々の経験値とレベルアップの大切さを改めて知ったミスターマリーンズの解説をぜひお聞きいただきたい。ドラクエで培ったトーク力に新たな発見があるかもしれない。

梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)

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