富澤はボソボソって言う一言がおもしろかった。僕の無茶なフリに上手く答えるのも彼でした。伊達は明るく誤魔化したり、笑い声で皆を和ますタイプ。2人ともモノマネが上手で、特に富澤の(漫画『キン肉マン』のキャラクター)ロビンマスクの声まねは上手かった。伊達も鳩のまねをしたり、部室の前の草を食べたりしてました。でも、徐々にネタがなくなってきて、芸が荒れて最終的には脱いで体を張った芸になっていくんです。長いときは、夜22時くらいまで帰れないこともありましたね」
吉本新喜劇好きの先輩が仕込んだ「話術」
“怖いけど面白い”芳賀先輩からは、普段も容赦ない無茶ぶりが2人に浴びせられた。
「隣の女子高のグラウンドに突入させて(ラグビーの)トライをさせたり、練習場の近くの池に人面魚がいるという噂があったので、2人に竹槍で探させたりしました。
ある日、世界水泳を観て興奮冷めやらぬときに、グラウンドに水たまりができていたので、『お前ら水たまりでメドレーリレーとかできないよね』って、後輩たちに思わせぶりに言ったこともありました。みな嫌がる中、富澤が先陣を切って『ああ、だんだん泳ぎたくなってきました』って泳ぐんです。無茶ぶりって最初すぐやるか、渋ってやるかで全然印象が違うじゃないですか。あの時はすごく褒めました(笑)」
出演するテレビ番組では、何気ないコメントでさらっと笑いを取るサンドの2人だが、トークやコメント力には芳賀さんの影響が大きいのかもしれない。
「ラグビー部は決まった練習場所を持っておらず、河川敷のグラウンドなどを転々としていました。2時間くらい練習すると、そのあと2時間は河原で、部員全員と何でもない話をしていました。そこで伊達や富澤たちには、『お前ら話がつまらないから、うそでも話にオチをつけろ。山も谷もねえ話、すんじゃねえぞ』ってよく話していた。僕はたまたまお笑いが好きで、ケーブルテレビで小さな頃から関西のお笑い番組をよく見ていました。フリがあって、オチがある。吉本新喜劇が好きでその影響はあったのかもしれません。あと、人に話を伝えるには声質が大事ですが、彼らはあの頃から声はすごく通っていました」