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事故物件に住んだらこんなにヤバかった「深夜に通知不可能の着信。留守電を再生したら…」

事故物件に住んだらこんなにヤバかった「深夜に通知不可能の着信。留守電を再生したら…」

“事故物件住みます芸人”が明かす恐怖の実話

2020/08/22

7年目に気付いた“603号室の謎”

 今年に入って僕は、お世話になっている不動産屋に頼んでこの1軒目のマンションを7年ぶりに内見させてもらった。そして自分が住んでいた6階のフロアを見た。7年前と変わりはないが、今になって気づいたことがあった。それは「3号室がない」ということだ。

 601、602、604、605……

 603号室がない。これは6階のフロアだけではない。各階に3号室がないのだ。

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 不動産屋に尋ねてみると、元々このマンションは違法建築だったそうで、十数年前にそのことが発覚し、大幅な改修工事が行われた。その時にかなりの居住スペースを削らないといけなかったのであろう。おそらく規定の容積を倍近くオーバーしていたのではないかと、不動産屋は言う。

 カトウさんがかつて住んでいた、エレベーターからすぐの部屋は603号室だ。カトウさんにそのことを報告すると、感慨深げに「まあ、あの部屋気持ち悪かったからなぁ」と言った。僕が住み始めたときには、すでにカトウさんが住んでいた603号室はなくなっていたことになる。

この事故物件が、全ての始まりだった

あの男は、もしかしたら……

 ここで僕はあることに気づいた。僕が見た、後輩の後ろにピッタリとくっついていたニット帽の男。あれはもしかしたら、“かつての603号室”から出てきたのではないだろうか。

 何故なら華井二等兵がエレベーターの前を歩き出した時点で、ニット帽の男はすでに見えていたからだ。華井二等兵の後ろには、エレベーターしかなかった。だが、エレベーターは1階に止まったままだった。他に可能性があるとすれば、かつてエレベーターのすぐ横にあった603号室しかない……。

 カトウさんの写真に写っていた男と、僕が廊下で見た男が同一人物なのかどうかは、今となってはわからない。

事故物件に住んだらこんなにヤバかった「深夜に通知不可能の着信。留守電を再生したら…」

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