コロナが落ち着いても、出張は半分に減らす
似鳥 僕はこれまで1年の半分は海外に行っていましたから、それがなくなった分、時間ができたので今まで人に任せていたことも含めて会社の実態を隅々までチェックしてみたら、「ムダ、ムラ、ムリ」が山のようにあって、それをずっと放置していたことにも気づきました。これは最大の発見でしたね。
有働 「ムダ、ムラ、ムリ」の「三つの“ム”」は避けなければいけない、と(笑)。
似鳥 例えば、海外出張。これまで商品部の半数にあたる約300人が商品開発のために月に1~2度、年間約1万3000日も海外出張をして打ち合わせを重ねていました。今は、それを全てオンラインに切り替え、コミュニケーションなど工夫しながら商品開発をしています。今までの出張にムダがなかったか見直すべきです。ですからコロナが落ち着いても、出張は半分に減らせ、と言っています。経費としては年間数十億円ぐらい浮くんじゃないでしょうか。時間も随分浮くと思いますよ。
有働 それは大きいですね。そのムダな出張の中には、会長の出張もあったんですかね?
似鳥 はい、そうです(笑)。家内に言われました。「あんたの出張は遊びに行っているようなもんだ」と。コロナは大変でしたけど、創業の精神に立ち返って、もう一度ニトリをゼロから再構築する機会になりました。会社にとっても、私にとっても悪いことばかりではなかったと思います。
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「文藝春秋」8月号および「文藝春秋 電子版」掲載の対談「コロナでムダ、ムラ、ムリがわかった」では、コロナ後の世界経済の見通しや、今後のニトリをゆだねる後継者、アパレル事業の勝算などについて似鳥氏が詳細に語っている。
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「コロナでムダ、ムラ、ムリがわかった」