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収入65%減「それでも鉄道に希望はあるのか?」 熊本地震から復活したJR九州の“数奇な運命”

2020/08/08
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 今日8月8日、阿蘇山を見ながら熊本と大分を結んで走るJR豊肥本線の肥後大津〜阿蘇間が運転を再開した。2016年の熊本地震で被災してから長らく不通だったが、このたびようやく復旧したというわけだ。阿蘇を列車が走るのは、実に4年ぶりのことである――。

 災害で被災した鉄道路線が無事に復旧するという話題は明るいニュースのひとつだ。実際、JR九州でも7月1日から来年1月11日にかけて「スイッチオン!豊肥本線全線開通プロジェクト」と題するキャンペーンを開催。久々に特急「あそぼーい!」が熊本〜大分・別府間で運転されるようになるなど、沿線住民とともに盛り上げようと気運が高まっているようだ。

 豊肥本線は九州の東西を横断する大動脈であると同時に、阿蘇の外輪山の中(つまりはカルデラの中)を走る屈指の観光路線でもある。あの豪華クルーズトレイン「ななつ星 in 九州」が通るルートでもあり、とりわけ今回運転を再開した区間は立野駅から赤水駅の間の三段スイッチバックや阿蘇山の美しい眺めなど見どころにあふれている。そうした豊肥本線の全線復旧となれば、地元の人たちの喜びや期待も相当なものだろう。

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2016年4月、地震で止まったままになったJR豊肥本線の車両(4月24日、阿蘇市で撮影) ©時事通信社
大分駅~熊本駅を結ぶJR豊肥本線。熊本地震で不通になり、今回復旧したのは阿蘇駅~肥後大津駅間
阿蘇の山並み。豊肥本線はカルデラの中を走る ©時事通信社

収入65%減、7月豪雨「なんとか明るい話題を……」

 けれど、喜んでばかりもいられない。本当ならば2020年の夏はオリンピックの夏。外国人観光客がこぞって日本にやってきて、ジャパン・レール・パスが飛ぶように売れ、お祭りムードのなか日本人も全国各地に観光に繰り出す。それでもって“観光列車大国”の九州も大いに賑わうはずだった。が、突如やってきた新型コロナウイルスで世は一変し、外国人観光客での賑わいは雲散霧消、4〜6月期のJR九州の鉄道旅客運輸収入は前年同期と比べて65.1%減という厳しい結果になった。