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また、こうした復旧工事には多くの資材を必要とする。そこで工事は被災区間のおおよそ中間に位置する立野駅を拠点として行われた。比較的被害が軽かったこともあり、2018年には立野駅構内の復旧を完了させてそこからレールなどの資材を運搬したという。。2019年11月には土砂の撤去や線路を敷設する地盤となる盛土の工事を終えて、2020年4月までに線路の敷設をすべて完了。以降、信号通信工事を進めて運転再開にいたったのである。
「当社の用地内だけでも土砂の撤去量は約9000立方メートルに及んでいます。国や県などさまざまな関係者の方のおかげで復旧にこぎつけることができました」(JR九州広報)
災害が襲おうが疫病が流行ろうが、人は必ず立ち上がる
このように、まさに艱難辛苦、あらゆる関係者が手を携えることによって、被災した鉄道路線は復旧に至る。まだ詳細が明らかになってはいないが、令和2年7月豪雨で被災した肥薩線などもそうした形での復旧になるのだろうか。
豊肥本線の復旧はコロナ禍や豪雨災害で弱り目に祟り目の九州にとって数少ない明るい話題。これを起爆剤にして一気にV字回復……とはなかなかいかなさそうな社会情勢ではあるが、少なくともひとつのきっかけになることは間違いないだろう。思わぬ災害が襲おうが疫病が流行ろうが、人は必ず立ち上がる。それを敢然と示すがごとく、阿蘇のカルデラに4年ぶりに列車が走るのである――。
写真=鼠入昌史