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Zeebraと日本語ラップの30年 『Grateful Days』“予想外”チャート1位と『いいとも』出演秘話

Zeebraインタビュー #2

2020/08/19
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『Bomb A Head!』、『DA.YO.NE』、『今夜はブギー・バック』の大ヒット

――Zeebraさんがキングギドラを結成した1993年以降、m.c.A・Tの『Bomb A Head!』やEAST END×YURIの『DA.YO.NE』、小沢健二とスチャダラパーによる『今夜はブギー・バック』が大ヒットし、スチャダラパーのBOSEさんは子ども向け番組の『ポンキッキーズ』に出演するなど、多くの人が「ヒップホップ」を知る機会が立て続けにありました。これらのブームをZeebraさんは当時どのように見ていましたか?

Zeebra スチャダラパーとEAST ENDはヒップホップの現場から出てきているし、ラッパーで僕が一番最初に仲良くなったのはEAST ENDのGAKUだったので、違和感なく受け入れてましたけど、当時は日本のヒップホップシーンが二分されているような時代だったんです。

 片方はスチャダラパーに代表されるような、ちょっとナードな文化系のヒップホップ。彼らと遊ぶ女の子は『CUTiE』とかを読んでいる子が多かったので、その先に小沢健二さんがいても不思議じゃないですよね。で、もう片方は不良や遊び人が多いハードコアな派閥で、つるんでいる女の子はギャルが多かった。こっちの場合、その先にオザケンがいないのはなんとなくわかりますかね(笑)。そういった毛色の違いから互いに牽制し合うこともあったんですけど、当時から自分は「みんながバラバラじゃダメだよね」と言ってました。

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 ヒップホップはクラブミュージックのひとつで、DJがいろんなアーティストの曲を繋いでフロアを盛り上げる音楽。だからこそ一人だけが売れてたりどこかの派閥だけ盛り上がっててもダメで、ヒップホップが市民権を得るには、シーン全体が一枚岩になってムーブメントを作らないといけないと思っていました。『CUTiE』読者が好むようなヒップホップがあってもいいし、『egg』読者が好きなヒップホップもあっていい。そうしてみんなで盛り上げていくことのほうが大事だよねっていうスタンスなんです。

『Grateful Days』チャート1位と『笑っていいとも!』出演

――1999年にはDragon AshとACOとタッグを組んだ『Grateful Days』がチャートの1位を獲得しました。このヒットは予想されていましたか?

Zeebra 作っているときはここまでヒットするとは思ってなくて、半信半疑という感じ。当時のDragon Ashのイメージは、日本のリンプ・ビズキット。そんなDragon Ashの降谷建志くん(Kj)が、僕のファーストアルバム『THE RHYME ANIMAL』を教科書にしてラップを作ってくれて、短期間の間に完璧にラップの形になっていたのでびっくりしましたね。

 

 その後だと思うんですけど、『笑っていいとも!』の「テレフォンショッキング」に初めて出ました。僕に繋いでくれたのは、意外にもヨネ(米倉涼子)なんです。うちの嫁とヨネは元CanCamモデルの先輩・後輩で仲が良かったんで、ヨネが「イケてるから出ちゃいなよ」って言って繋いでくれました(笑)。

 タモリさんがブラック・ミュージックに造詣が深いことも知っていたので、お会いできて嬉しかったですね。でもその後にラッパ我リヤ、YOU THE ROCK★と3日続けてラッパーを出したら、「さすがにもうやめてください」ってスタッフの方に怒られちゃいましたけど(笑)。