「いま何の伝統があるんだ。もう伝統とかいう時代じゃないですよ。球界の盟主? それも時代錯誤だよ」

 巨人・原辰徳監督の「野手の中継ぎ登板」采配に対する批判に、そう“喝”を入れるのは、球界のご意見番、3千本安打の張本勲氏(80)だ。

“球界のご意見番”張本勲氏は、野手登板問題をどうみるのか ©文藝春秋

 問題の試合は、8月6日の阪神・巨人戦。8回裏、巨人・堀岡投手が満塁ホームランを浴びて11点差となったところで、原監督がマウンドに、内野手登録の増田大輝(27)を送り出したのだ。

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 誰も予想しなかった野手の“二刀流”。原監督は、試合後「あそこで堀岡を投げさせる方がはるかに失礼なこと。チームの最善策」と説明したが、巨人の大物OBを巻き込んで、その是非が論争となっている。

8月6日、甲子園のマウンドに立った増田大輝内野手  ©共同通信社

 もっとも激しく反応したのは、元巨人軍監督でプロ野球解説者の堀内恒夫氏。自身のブログで次のように怒りを露わにした。

〈これはやっちゃいけない。巨人軍はそんなチームじゃない。しかも今、首位に立っているじゃないか。強いチームがそんなことやっちゃダメよ。こんなことして相手のチームはどう思うだろうか。馬鹿にされてるとは思わないだろうか〉

 さらに、原監督体制でヘッドコーチを務めた伊原春樹氏に至っては「考えられない。私がベンチにいたら、原監督とケンカをしてでも絶対にやらせなかった。これはダメ。調子に乗ってどうにかしちゃったとしか思えない。巨人の伝統的な戦い方からはかけ離れている」とまで語ったと報じられている。

2005年、巨人監督時代の堀内恒夫氏。ブログで原采配を痛烈批判 ©文藝春秋
巨人の原辰徳監督 ©共同通信社

「野手出身であんな発想ができるのは大したもの」

 しかし、巨人OBでもある張本氏は、今回の原采配について、次のように語る。