原監督は、2002年6月の横浜戦ではベンチに野手が残っていながら代打・桑田真澄を起用。2009年9月のヤクルト戦では捕手を使い切った状況で、捕手経験のある当時内野手だった木村拓也を捕手に指名する采配を見せた。
辛口の張本氏は、原采配の特徴を次のように語る。
「思い切りですよ。主将で生え抜きの坂本をスタメンから外したり、MVPを獲って広島から来た丸に対して調子が悪いからと送りバントをやらせるというのは、原監督ぐらいしかおらんだろう。そして、ポツンポツンとあまり名前も聞いたことない若い選手を使うじゃないの。やっぱりそれは理由があって、足が速いとか、右方向に打つのがうまいとか。自分の眼力を信じて采配しているから」
メジャーリーグ・カブスのダルビッシュ有投手はツイッターで〈原監督がいかにシーズン全体を見ていて、選手の身体を気遣っているかのかがよくわかる采配〉と評価。昨年夏、岩手・大船渡高校の佐々木朗希投手(現ロッテ)の登板回避問題では、論争を戦わせた張本氏とダルビッシュ投手だが、今回は意見が一致している。
明日勝つ確率をあげたり、中継ぎ陣の負担を軽くするための戦術ですからねー。
— ダルビッシュ有(Yu Darvish) (@faridyu) August 6, 2020
原監督がいかにシーズン全体を見ていて、選手の身体を気遣っているのかがよくわかる采配だと思いました😄 https://t.co/m5z0CSiroH
投手起用を打診されたら「そりゃ、やりますよ」
ちなみに、登板した増田投手は徳島・小松島高校時代は投手を務め、近大で野手に転向した経歴を持つ。独立リーグを経て2015年に育成ドラフトで巨人に入団した苦労人だ。今回の1死からの登板では、最初の打者、近本光司をスライダーと136キロの直球でセカンドゴロに打ち取り、続く江越は四球。主軸の4番・大山悠輔は最速138キロの直球で右フライに打ち取り、打者3人を無安打1四球の無失点に抑えた。
高校時代、投手として甲子園を目指していた張本氏に、監督から投手起用を打診された場合はどうするかと聞いてみると……。
「そりゃ、やりますよ。監督采配というのは『軍命』だから。背を向けて反旗を翻すわけにはいかないじゃないの。言われた通り、全力を尽くしてやりますよ。彼(増田選手)も『わかりました』と、そんな気持ちだったと思いますよ。それにしても、今回の采配は、仮に私が監督でも躊躇しますね。そういう意味では私も勉強させられたよ」
今回の采配に対する批判に、原監督は「そういう人がいてもいいんじゃない。ジャイアンツではやってはいけないとか小さなことじゃない。俺は、ただじゃ転ばないのよ」(8月7日)と語ったという。
“名”采配か、“迷”采配か。評価が定まるのは、今シーズンの結果が出てからかもしれない。