自分にとってキャパオーバーだと自覚した
新型コロナウィルスの影響も少なくない。子どもが罹患してしまわない様に神経を使うのもそうだが、親である自分たちが気軽にリフレッシュに出掛けられないのも大きい。週に1回でも外に出掛けて好きな時間を過ごせれば発散出来るものが、少しずつ積もっていく。今の状況が自分にとってキャパオーバーだと自覚した。
連敗し、3局目を目前に控えた頃、このコラムの締め切りに関してメールをいただいた。「もうすぐ3局目ですし、終わってからでも構いません」。
3局で終わるかもしれないな、と思った。対局者である私が思ったのだから、周りはもっと思っていただろう。今書くよりも、全部終わった状態で振り返りとして書く方が良いだろうと、3局目の後に締め切りを伸ばしてもらった。
10年程前だったか、気合いを入れて臨んだ対局に負けてガッカリしていたところ、本屋に陳列されていた羽生善治九段の著書が目に入った。そこには「いいんだよ、また勝てば」という帯がかけられていた。今の自分にはタイトル戦を理想の状態では戦えないのだと、状況を受け入れてからは焦ることもピリピリすることも少なくなった。今出来ることをやってダメだったら、また改めて頑張ればいい。
伸ばしっぱなしだった髪をショートまで切り、それを見たロングヘアの長女が私と同じ髪型で美容室から帰ってきた。それから少しして梅雨が明けた。
突破しなければいけない壁の1つ
3局目の朝は妙にスッキリと起きられた。将棋の準備は万端とは言えなかったけれど、切り上げて少し早めに寝たのが良かったのだろうか。今日は良い将棋が指せるかもしれないと思った。
結果として3局目は比較的良い内容に勝つことが出来た。3局目が終わったら……と締め切りを伸ばしてもらったが、4局目まで6日間しか日程がなかったため、勝手に再度締め切りを伸ばした(ごめんなさい)。
4局目は2局目と同じ戦型で相手の得意戦法に挑むことにした。悔いの残る結果になってしまった戦型で、もう一度ちゃんと戦いたいという思いが強かった。これは女流棋界の第一人者である里見さんに勝つためには、突破しなければいけない壁の1つなのだ。