昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

特集観る将棋、読む将棋

いよいよ決勝戦! ひたすら作戦を練る「所司一門」といつも笑い声が漏れる「バナナ」

第3回AbemaTVトーナメント準決勝レポート #1

2020/08/21

 4月から放送されてきた第3回AbemaTVトーナメントは8月22日(土)の決勝を残すだけになった。棋士3人の団体戦という画期的な試みで、12チーム36人が参加。予選を通過した8チームによる決勝トーナメントは7月から生放送されている。

 8月1日に放送されたチーム渡辺「所司一門」(渡辺明二冠、近藤誠也七段、石井健太郎六段)VSチーム三浦「ミレニアム」(三浦弘行九段、高野智史五段、本田奎五段)、8月8日に放送されたチーム永瀬「バナナ」(永瀬拓矢二冠、藤井聡太棋聖、増田康宏六段)VSチーム康光「レジェンド」(佐藤康光九段、谷川浩司九段、森内俊之九段)の準決勝2試合のスタジオにお邪魔して、各チームの棋士たちと、番組を支えた女流棋士や解説の棋士、ABEMA将棋チャンネルプロデューサーの声を取材した。

 前半は4チームの棋士の声を中心にレポートする。(段位や肩書は取材当時)

藤井聡太棋聖VS佐藤康光九段。対局は特設のセットで行われる

「チームメンバーを応援しながら見るのは楽しい」

 生放送のため、出演者は2~3時間前にスタジオ入りする。ヘアメイクやリハーサルの合間を縫って、少しずつ話を聞かせてもらった。

 各チーム予選を2試合こなし、決勝トーナメント1回戦を勝ち上がり準決勝が4戦目だ。チームで戦ってきて良かったことはどんなところだろうか。

 チーム渡辺「所司一門」の渡辺明二冠は「もともと同門で顔見知りのチームなので、仲は変わりません。これまで他人の作戦を考えたりすることなんてなかったけれど、このトーナメントでは一緒に作戦を考えます。お互いの棋風もわかってきましたね」と話すと、石井健太郎六段も「2人の考えることが少し分かるようになってきました」。

「所司一門」の作戦会議(ABEMAより)

 チーム三浦「ミレニアム」の本田奎五段は、「普段、他の棋士の対局を見て盛り上がることはあるけど、自分には関係のないことではないですか。今回のようにチームメンバーを応援しながら見るのは楽しいです」。高野智史五段は「私は自分1人の対局よりも身が入りました」とチーム戦の良さを語る。

「渡辺リーダーに楽をさせてあげたいね」

 8月1日のスタジオ入りの前には、チーム渡辺「所司一門」は少し早く集まって、ランチしながら作戦を練った。チーム三浦「ミレニアム」は前日に集まってフィッシャールールでの練習を重ね、終わったらリーダーの三浦弘行九段のおごりで「モツ鍋」を囲み「明日は頑張りましょう」と決起会をしたという。

チーム三浦「ミレニアム」のメンバー(ABEMAより)

 団体戦はメンバーへの思いやりも大切。忙しいメンバーを気遣う声もあった。

 チーム康光「レジェンド」の森内俊之九段は「4~5月の外出自粛期間に自分の将棋を見つめ直したり、じっくり将棋の勉強を積むことができました。チームでは(49歳の)私が一番若いですし、リーダーの佐藤さん(康光九段)は日本将棋連盟会長として多忙なので負担をかけてはいけない。私がお力になれればと」と話す。予選からの個人通算成績を9勝2敗とし、チームを引っ張った。

文字通り「レジェンド」の一人である森内俊之九段

 また「所司一門」のリーダー渡辺二冠も、名人戦や棋聖戦、王座戦挑戦者決定戦などが続き大変なスケジュールをこなした。「石井さんと『渡辺リーダーに楽をさせてあげたいね』と話していました」という近藤誠也七段は、本戦1回戦では石井六段ともに2勝0敗、準決勝では3勝0敗と、リーダーの負担を軽くする活躍だった。