第3回AbemaTVトーナメントを盛り上げているのは、対局した棋士だけではない。番組の進行という重責を担った司会、スピーディーな解説と聞き手、そして生放送の本戦では記録係もそれぞれの立場で見事に役割を果たした。

 レポート後半では、番組を支えた棋士と女流棋士のインタビューを中心にお届けする。(段位や肩書は取材当時)

いつもより華やかな衣装やヘアメイク

 決勝トーナメントに入ってからの司会は室谷由紀女流三段、鈴木環那女流二段、山口恵梨子女流二段、中村桃子女流初段の4人が務めた。4人とも、出番でないときには対局をモニターで観戦して熱心にメモをとっていた。台本は用意されているけれど、番組の最初と最後、そして対局の前後のインタビューで対局者にどんな質問をするかは、司会も考えなくてはいけない。

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司会の二人は、出番がないときにも対局を観戦しながらメモを取り、打ち合わせを行っている

 1回戦1週目はスタッフが対局前後のインタビューの聞き手を務めたものの、質問の仕方がうまくいかず、2週目からは司会の女流棋士がインタビューするように変更された。

「番組終了後はスタッフで反省会をして、改善できるところはすぐ変えています。棋士、女流棋士からのご意見もうかがってます」とAbemaTVトーナメントの制作指揮を担当する佐藤光輔プロデューサー(32)。司会の意見や要望も取り入れてきたという。

 そして、番組の演出に合わせ「いつもより華やかな衣装や、ヘアメイクをお願いしました」(佐藤プロデューサー)。

 ヘアメイクやリハーサルの合間を縫って、放送前、司会4人それぞれに3~10分ずつインタビューした。

AbemaTVトーナメントの佐藤光輔プロデューサー

自分なりの棋力を生かした司会をするように

 まずは8月1日放送を担当した山口恵梨子女流二段。

――先週も下見で来たのですが、司会者は熱心にメモをとられていました。どのようなメモをとり、どのように番組に生かしていますか。

 山口 対局の戦型だったり、ポイントだったりいろいろです。解説も聞いて、将棋用語が多かった場合は、簡単にフォローできるように考えたりも。アドリブでつなぐ必要も多いので話す内容に困らないようにしています。

山口恵梨子女流二段(ABEMAより)

――衣装は華やかなものを選ばれているのでしょうか? 今日も素敵ですが、先週の大きなリボンの薄紫のワンピース、とても華やかでお似合いでした。

 山口 ありがとうございます。華やかにという要望もあったので合わせました。

――どんなことを心掛けて司会をされていますか。

 山口 女流棋士である私たちに司会を任せていただいている意味をいつも考えています。司会の技術だけだったら、司会のプロのほうがいいですよね。女流棋士にあるものは、やはり棋力なので、自分なりの棋力を生かした司会をするようにしています。でも、将棋のルールだけ知っているような方でも理解できるような言葉を選ぶよう心がけています。