真剣勝負の中にも、クスっと笑える話を持ってこられるように
同じく8月8日分を担当した鈴木環那女流二段。
――棋士の対局中、司会の出番でないときにはどんなメモをとり、どう生かしていますか?
鈴木 専門用語を使わなくても将棋を説明できるように、例えば「最後は時計の叩き合いになりました。対局場には時計の音が響き渡っていました」とか臨場感が伝わる話ができるようにメモをとっています。対局者には「1局を振り返ってどうでしたか?」とか当たり前のことを聞いてもいいのですが、そこはできるだけ女流棋士であることを生かせるように、でも難しくないように「大熱戦の終盤戦でしたね」とか振ることができるように対局をしっかり見ています。
――素敵な衣装ですね。華やかめを意識したのでしょうか。
鈴木 そうですね。この番組の最初、チームを決めるドラフト会議のときは、司会の棋士お二方はタキシードを着ていました。私もイベントでもあまり着ないような、パーティーのイメージで服を選んでいます。でも、パーティー服なんてそんなに持っていませんよね。何度も同じ服は着られませんし、正直、このために服を買ったりもしています(笑)。
――スタッフさんに要望や意見を伝えたことはありますか?
鈴木 あります。インタビューしたい対局者がお手洗いに行く間、司会のトークでつなぐ必要が出たりもします。いろいろなケースに対応できるよう、いくつもネタを用意しておくのですが、足りなくなる心配も。現在の対戦成績表を画面に出してもらって、それでトークできるようにしたり、ルールのおさらいをできるように改善していただきました。
――今日はどんなネタを用意してきましたか。
鈴木 チーム「レジェンド」が集まって前日練習をした話です。佐藤康光九段は差し入れにミカンを持ってこられました。「自分たちは『レジェンド』だけど、まだ未完成。だからミカン」と。今日は「バナナ」と「ミカン」の戦いというお話です。真剣勝負の中にも、クスっと笑える話を持ってこられるように。森内俊之九段とはYouTubeの森内チャンネルでご一緒していて、昨日はそのこともあり、前日練習にお邪魔しました。
――司会の女流棋士同士、情報交換はしていますか?
鈴木 それはもうLINEでしょっちゅうです。こういうところが大変だったとか、失敗しそうになったとか、共有しています。司会が失敗すると視聴者がヒヤヒヤしたり、違った緊張感を与えてしまいます。リラックスして見て欲しいと思っています。
ストップウォッチでトークの秒数を計る
鈴木女流二段は、放送中に予定通り「未完成だからミカン」の話題を笑顔で披露。佐藤康光九段の差し入れのミカンも持参して視聴者に見せていた。
以前はアナウンススクールにも通った経験のある鈴木女流二段は、自分が出演しない回のAbemaTVトーナメントをチェックする際、ストップウォッチで秒数を計り、この部分はこの長さのトークをと考えながら準備することもあったという。まるでプロの司会者のような徹底ぶりだ。