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特集観る将棋、読む将棋

2020/08/17

家に帰ってから「ビックリだね」と夫と話した

 3、4局はどちらも辛抱強く、自分のミスを出来る限り少なくとどめられたと思う。家に帰ってから「ビックリだね」と夫と話した。連勝は誰も予想しなかった結果で、何が功を奏したのかは分からない。夫とは「梅雨が明けたからね」とよく分からない着地点に落ち着いた。何はともあれこれでフルセットになり、勝負は最終局に持ち込まれた。

 4局目の次の日の8月7日は次女の誕生日だった。長女も含めて例年は外のスタジオで記念撮影をしていたけれど、今年は家で撮ることにした。2歳になる次女はアンパンマンが大好き。家だからこそ、次女の好きなもので囲って写真を撮った。可愛い赤ちゃんだった次女も幼児へと成長した。長女に比べて主張が強く、これから本格化するであろうイヤイヤ期に戦々恐々としている。

誕生日は好きなもので囲って写真を撮った ©上田初美

自分の中にあるすべての力を盤面に

 育児が将棋にプラスになることはないと、私はいつも言っている。将棋の強さを求め続けるのなら、時間・体力ともに莫大な量を費やす育児は重荷にしかならない。特に妊娠出産を担う女性にとってはより大きな選択となる。それはどの職種でもおそらく同じだろう。一方で子どもから受け取る愛情は計り知れない。無償の愛とは親から子ではなく、子から親への愛情を指すのではないだろうか。

「幸せはいつも自分の心が決める」とは相田みつをさんの言葉だ。情報過多で、見たいものも見たくないものも見えすぎる現代で、自分にとって何が幸せなのかは生きる上でとても大切な軸となると思う。私は私自身のことしか分からないし書けないけれど、みんなそれぞれ背負えるものを背負って戦っている。プロだから結果が全てだというのが事実である一方で、人間だからその時々によって背負っている物が変わるのも、また事実なのだ。

 第2期ヒューリック杯清麗戦五番勝負最終局は8月18日(火)に行われる。勝っても負けても最後だから、自分の中にあるすべての力を盤面に出したいと思う。

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