1ページ目から読む
3/3ページ目
幹部からかかってきた最後の電話
つい先日、近畿地方の広域組織幹部から電話をもらった。彼は明らかに思い詰めていた。
「もうヤクザの時代じゃないんだ……俺はこれから死ぬ」
「だったらカタギでやっていけばいい。死ぬことなんてないです。なにを言ってるんですか、落ち着いて下さい!」
「お前さんには……ヤクザの本当のことなんて分からないんだろう。任侠道なんてどこにもなかった。俺はもう失望した」
電話は一方的に切られた。すぐかけ直したが電源が切られていた。若い衆の電話番号も知っていたのですぐコールしたが、やはり繋がらない。すぐさまバイクに飛び乗って事務所まで出かけた。到着した時、すでに彼は若い衆を撃ち殺し、最後は自分の頭を撃ち抜いていた。
「もうヤクザの時代じゃない……」
震える彼の声は、いまも耳に残っている。