1ページ目から読む
3/4ページ目

田中圭、高橋一生……舞台は“スター俳優育成装置”

 田中圭もまた、「おっさんずラブ」(テレビ朝日系・2019年)の“ブレイク前夜”に「舞台で役者としてのインナーマッスル的なものも鍛えたい」「舞台をやっていないと、単純に自分の芝居の質がどんどん下がっていく気がする」(「アクターズ読本」2015年7月26日発行)と語っている。

田中圭 ©️AFLO

 高橋一生にとっても舞台経験は大きかったようだ。2018年頃、本人に取材したときに「若い頃は感情で演じるだけの役者」だったが、30歳手前くらいから「テクニカルな部分で『ポーズ』も使うようになったこと」と語っていた。舞台で演じるにあたって歌舞伎役者に話を聞くと「ポーズが必要な瞬間」に気が付いたという。

 つまりは歌舞伎の見得のような、日常生活ではわざとらしい動きをあえてすることによって視線を引き付け、そこで表現する感情を強く印象づけられることがあるということだろう。そうしたテクニックを身に着けることで映画「シン・ゴジラ」(2016年)や大河ドラマ「おんな城主 直虎」(2017年)で見せた、印象に残る演技が可能になったのだ。

ADVERTISEMENT

高橋一生 ©️文藝春秋

 賀来賢人も舞台での経験を経て、着実に個性とテクニックを身に着けた。そしてついに「今日俺」主演という大きなチャンスを得た。この作品で賀来賢人は忘れたくても忘れられないほど強い個性を放つ演技をみせる。テレビ画面にはもはや「関ジャニ村上似」のつるりとした“イケメン俳優”の姿はなく、“クセの強い役者”賀来賢人が金髪頭で縦横無尽に動き回っていた。

2020年7月17日から公開されている映画「今日から俺は!! 劇場版」

《キモさがMAX》ファンの目を気にせず“振り切る”強さ

 ブレイクはあくまで「今日俺」の三橋役からだが、実はそれ以前から若い世代にはじわじわと注目され、好感を持たれてきていた面もある。きっかけは、賀来がInstagramにアップした動画だ。イケメンイメージが完全に崩壊する奇妙な動きの数々を、持ち前の高い身体能力を駆使して繰り出してはたびたび投稿し、《キモさがMAX超えてます》《しょーもなさすぎて最高です》などと絶賛(?)されていたのだ。

賀来賢人インスタグラム(2017年6月8日)