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日本人9人組「NiziU」は韓国でどう見られている?《K-POPの“本場”韓国人評論家が分析》

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NiziUが活躍する条件とは?

 NiziUでは、東方神起や少女時代を生んだ韓国を代表するエンタメ企業「SMエンターテインメント」方式のように、“英雄”や“女神”と呼ばれるようなメンバーは生まれないでしょう。

 なぜなら、SMは目に見える外見など視覚的な効果をより大事にして、音楽は世界的トレンドを重視しています。

 一方、JYPは先述の通り、グループ像も音楽性もインスピレーションを重視します。これまでのJYPのグループをみていると、ファンと一緒に人生を歩んでいくようなパートナーのような存在となったグループが成功しています。JYPが描くスター像は、超越した存在になることを求めないのです。

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 予想通り、NiziUが既に発表している楽曲は、TWICEと同じく活気に満ちた曲ばかり。疲れて無気力になっていても、彼女たちを見つめていれば退屈な日常生活を活きていく力をもらえます。

NiziUのミニアルバム「Make you happy」

 K-POPの世界は、ファンの好むことをすれば人気が出るほど甘くはありません。ただ可愛いガールズグループが売れると思うのは錯覚です。

 相手に合わせるためにわざと可愛いふりをするより、自然体で自分の個性や魅力で勝負できれば、NiziUも息の長いガールズグループになるはずです。

NiziUは、アジア進出のモデルになる

 韓国のアイドル戦略は、もはや東アジアの国々の間で協力して築き上げる形を基本としています。このような流れの中で「現地化戦略」が進んでいるのは、NiziUだけではありません。

 SMエンターテインメントは昨年1月、中国、香港、マカオ、台湾、タイ出身の中華圏ボーイズグループの「ウェイションV(WayV)」を結成し、新曲を発表しました。JYPも中国のテンセントミュージックと合同で、中国人ボーイズグループの「ボーイストーリー」を結成しています。

 やはり韓国のエンタメ企業のCJENMは、日本の吉本興業と共同で、LAPONEエンターテインメントを設立し、日本人による男性アイドルグループ「JO1」が活躍中です。

 NiziUが成功すれば、さらに他の韓国の企画会社も活発に動く可能性が高い。実際、SMエンターテインメントは中国に続き、日本でも東京の専門学校のネットワークを活用したオンラインオーディションを進めています。

 今後のNiziUの活躍は一つのテストケースになるでしょう。

NiziU公式Instagramより

 私は、NiziUが韓国や日本といった地域に閉じこもらず、新しいトレンドを自ら作っていくガールズグループに成長することを願っています。個人も大事だけど、仲間を大事にする共同体精神は、西洋人が魅力を感じる「アジア精神」です。そんな精神を世界に広く拡散させるガールズグループになってほしいと思います。

 日本文化のすばらしい底力がNiziUに融合されれば、韓国や日本だけではなく、世界的にも新しいガールズグループの旋風を巻き起こすでしょう。

(翻訳:金敬哲)

日本人9人組「NiziU」は韓国でどう見られている?《K-POPの“本場”韓国人評論家が分析》

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