また、音楽性やファッションの面でも、これまでのJYPの経験が活かされています。
ワンダーガールズが成功した要因の一つは、肌を露出せずにセクシーさを打ち出したことでした。それまでの韓国のガールズグループは、分かりやすい露出でセクシーさをアピールしていたことから「扇情的だ」という批判が絶えませんでした。
しかし、ワンダーガールズは露出を最小限に抑え、かわいい少女のイメージで韓国国民から愛され、中高年のファンまで呼び込むことに成功しました。コンサートやファンミーティングに“おじさんファン”が現れたのです。一方でJYPがワンダーガールズの活動で得た教訓は、彼女たちが売りにしていたレトロポップでは、幅広いファンはつかめても、人気が持続しないという点です。
そこで、TWICEは、肌の露出は抑えつつ、ポジティブで明るいエネルギーを打ち出すというコンセプトが強化され、音楽もレトロスタイルを捨てて、ジャンルにとらわれない自らの音楽スタイルを作っていきました。その結果、大成功を収めました。Nizi Projectには、そのスタイルはそのまま引き継がれています。
パク・ジニョン氏の哲学が吹き込まれた
そんなガールズグループのスタイルを築き上げたのが、「JYPエンターテインメント」創業者でプロデューサーのJ.Y. Parkことパク・ジニョン氏です。
韓国では、彼が持っているガールズグループについて明確な哲学が知られています。
まず彼は、メンバーの容姿やダンスなどでなく「人間性」を重視します。といっても、彼が求める人間性とは「善良で真面目」というような意味ではありません。Nizi Projectのオーディションでも、パク氏は次のように訴えています。
「歌やダンスよりは、自然体でありままの自分らしさ、個性、声、表情が欲しい。それこそがスター性。自分はそれを探している」
ガールズグループを目指す練習生を選ぶことは、スターの「原石」を探すような作業。すでに作り込まれた人物より、ありのままの人物をみて判断したいということなのでしょう。