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 さらに、パク・ジニョン氏が重視するのが、「謙虚さ」です。これも、Nizi Projectのオーディション現場で何度も強調されていました。パク氏が求めるのは、健康な精神を持つ人物がダンスや歌、そして表情を通じてポジティブなエネルギーをファンに吹き込む――そんなガールズグループのあり方なのです。

 このように紹介すると評価基準が“きれい事”のように感じるかもしれません。しかし、ファンのロールモデルとなる存在として、その性格や価値観が若者たちに大きく影響することから、韓国のアイドルでは今やこの「人間性」が大きな評価基準となっているのです。

 もちろんパク氏の手法に対しては批判もあります。代表的な批判が、パク氏が独断で練習生を選抜するスタイルが、「“パク・ジニョン信者”を集めているだけ」というものです。

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 ほかのガールズグループを手掛ける企業は、さまざまな専門家をオーディションに参加させているのとは大きく異なります。今回のNizi Projectも、やはりパク・ジニョン氏の主観的な判断のみによって選ばれるスタイルのオーディションが行われました。

 ただ私は、多くの専門家の意見を聞くより、むしろ、セクシーさの表現や音楽性など、彼が長年考え抜いて築き上げた哲学を大事にした方が成功の可能性が高まると考えています。

ソウルの大型ビジョンに映し出されたNiziU(8月16日)

韓国のオーディションと何が違ったか

 NiziUを結成するまでの過程も、パク・ジニョン氏の思い通りのスタイルで実現できています。

 パク氏が考えるNiziUの戦略は、日本にはないガールズグループの要素を結合させて差別化し、競争力を確保すること。さらに表向きは日本のガールズグループでありながら、コンテンツとしては韓国的な手法で世界進出までも考えている。

 私も、Nizi Projectのオーディションの過程を見ましたが、韓国での同じようなオーディション番組に比べても、放送局の介入を一段と減らした印象で、あくまでパク氏の企画力や演出を中心に置いていました。

 韓国のオーディションとの違いを挙げるなら、日本の候補者たちは、基本的なテクニックはしっかりしていましたが、勝ち負けに対して超然としている人が多かった。余裕があるとも言えますが、オーディションに落ちてもそんなにがっかりしない。むしろ選ばれた子たちを心から祝っている姿勢が目に付きました。他人に配慮する日本人独特の人間性も、このグループの魅力になっていくでしょう。

 既存の韓国のガールズグループは、エンターテインメント的な要素が非常に強かった。一方、NiziUは、アーティスティックな要素が強いのも特色です。より芸術的な側面を求めるのが今のガールズグループの世界的な流れなので、トレンドにふさわしいと思います。