連綿と続く伝統の当て馬キャラクター
当て馬といえば、古くは中山美穂(50)主演の「すてきな片想い」(フジテレビ系・1990年)などで数々のフラれ役を演じた石黒賢(54)や、「魔女の条件」(TBS系・1999年)で婚約者(松嶋菜々子・46)にフラれた別所哲也(55)が定番だった。また松嶋主演の「やまとなでしこ」(フジテレビ系・2000年)では、東幹久(51)がドラマ史上最強の当て馬ともいえる善良なお坊ちゃま、東十条司役を見事に演じた。
トレンディドラマ全盛の時代、ヒーローは柳葉敏郎(59)が演じる熱血漢だったり、木村拓哉が演じるちょっと意地悪なツンデレだったり、堤真一が演じる貧乏なインテリだったり、みんな癖のあるタイプだった。一方、当て馬役はヒーローを際立たせるために、王子様然としていてガツガツせず、女性の気持ちを尊重してくれそうなキャラクターが多かった。そのため演じる俳優には上品な顔立ちや、育ちのよさそうな物腰が求められた。
そしてそれは時代が流れても変わっていない。
当て馬に必須な“いいとこのお坊ちゃん感”
「中学聖日記」(TBS系・2018年)で婚約者(有村架純・27)を奪われてしまう商社マン役の町田啓太(30)、「デート~恋とはどんなものかしら~」(フジテレビ系・2015年)で恋に空回りするスポーツ用品メーカー社員役の中島裕翔(27)、「恋のツキ」(テレビ東京系・2018年)で同棲中の彼女にフラれる役の神尾楓珠(21)。
現代においても当て馬役は紳士的だったり親しみの沸くタイプが多い。そして演じるのはみんな一様に美しい顔立ちに優美な所作を併せ持つ俳優だ。”いいとこのお坊ちゃん役”がよく似合う石黒賢や別所哲也のように。
瀬戸が演じる「わたナギ」の田所も、連綿と続く伝統の当て馬キャラクターを見事に踏襲している。