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2020/09/06

日韓関係にも「ソーシャルディスタンス」が必要だ

――新政権は、どのような日韓関係を目指すべきなのでしょうか。

 韓国社会の「反日」活動は、日本への過剰な「身内感覚」から生まれる甘えのような感覚が原因とも言えます。じゃれているようなところもあり、それが次第にエスカレートして「日本に対して何をしても何を言ってもいい」という意識まで生まれ、昨年はあそこまで突き進んでしまった。

 本人たちにとっては気軽なパフォーマンスですから、外交関係に深刻な影響を与えているとは想像もしていない。一方の日本側も、度重なる反日行為に食あたり気味で、両政府が関係を改善しようという動機づけを見失っていた。ただ、昨年来の安倍対韓外交は「韓国に対しては、もうことさらの配慮や遠慮はしない」ということを韓国に強く印象付けました。これは日韓外交では画期的なことで、最大の成果だったかもしれません。

 しかし、日韓両国は地理的にも歴史的にも文化的にも近く、宿命的に「互いに逃れられない関係」です。韓国が持つ日本への「過剰な身内感覚」は問題も起こしますが、ビジネスの上では日韓の潤滑油になっています。いってみれば、「世界一反日で、なおかつ世界一親日の国」です。

 私は、その中で鍵になるのは「ソーシャルディスタンス」、いわば適切な距離を置くことだと思います。

菅義偉官房長官 ©文藝春秋

 ダメな対応の“お手本”が、次期首相の最有力候補である菅義偉官房長官の会見。この夏の土下座像問題についての質疑応答で「国際儀礼上、許されない」「日韓関係に決定的な影響を与える」と強い口調で批判してしまったのです。急な質問でとっさにいいやすい言葉を選んだのは分かりますが、正直に言えば、あそこまでまともに取り合う必要はなかった。

「韓国では夏になるとよく似たようなパフォーマンスがありますね。国際的には非常識で、韓国の品格に関わることだと思いますから、韓国の国民のみなさんが正しく判断するでしょう」と、上から目線のユーモアまじりであしらった方が良かった。

産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏

 近隣の国に対して感情的にエスカレートしてしまえば、「深入り」という過剰な“密”の状態を生み出し、思考や判断の幅を狭めてしまって“病”にかかってしまいます。そんな“病”への感染を防ぐためには、余裕と距離をとることが大切です。

 前編でも説明したように、安倍首相の辞任は韓国側が「折れる」きっかけになるかもしれない。ここは日本も冷静になって、客観的に相手をよく観察し知れば、わかることも多い。あの徴用工問題については、韓国では珍しく「韓国側も放置し続けてきた問題がある」という論調も生まれつつある。そういった相手側の雰囲気の流れをしっかりと認識した上で、安倍政権を引き継ぐ新政権は一つ一つタイミング良くかつ落ち着いた対応をしていただきたいものです。

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