「不快で許しがたい彼女たちの曲は、女性の立場を100年も後退させた」。アメリカの元議員候補、ディアナ・ロレーヌが「WAP」という曲に放った言葉だ。今、米国では、このラップソングが社会現象級の大ヒットを記録するとともに、政治家をも含めた大きな議論を巻き起こしている。
レーベルもYouTubeも歌詞にヒヤヒヤ
「WAP」は、飛ぶ鳥を落とす勢いでヒットを連発している20代の女性ラッパー、カーディ・Bとメーガン・ジー・スタリオンのコラボ曲だ。今一番ノッてるスター同士の共演だけあり、リリース早々Billboard1位を獲得、それと同時に初週ストリーミング消費量において同チャート史上最高記録を樹立するに至った。
話題となったのは、レーベルすらリリースに怖気づいた歌詞、そしてYouTubeも表現緩和を提案したというミュージックビデオの過激さだ。日本でもワーナーミュージック・ジャパンが和訳つき動画を公開しているが、多くの歌詞が白塗りされていて読むことができない。つまるところ、それほど赤裸々に性的なワードが連発されているのだ!
TikTokでティーンたちに大人気
タイトルの「WAP」は「濡れまくりのプッシー」の略で、プッシーは女性器を指す。カーディは「私のWAPが欲しいなら全て捧げろ」「クレジットカードを擦るみたいに私のプッシーの前で鼻を動かせ」などと性的な命令を連発。対するメーガンも「食物連鎖のなかで私は捕食する側、私の尻に食いつく男は底辺」だと性的優位を示し、「私のWAPにキスするために学費を払え」とラップする(メーガンは健康管理の学士号取得に励む現役学生)。
ミュージックビデオの舞台は豊満な尻と胸をかたどった黄金の像が飾られる豪邸。キャリアを通して性的な自信をラップしてきた2人のほか、セクシーな女性セレブたちも続々と登場していく。
TikTokではティーンたちに大人気。TikTok上ではクリーンな歌詞に言い換えられたバージョンが流れるようになっているものの、性的ではあるため、親の前でダンスして驚かせる動画や、逆に「中年の母親がバリバリに踊りまくる衝撃」ビデオなど、家族テーマのジョークが盛り上がっている。