「ゲームで親孝行ができた」
一方、改めて思うこともあります。オンラインゲームは、ツール(道具)です。自動車の使い方を誤れば人をはね、包丁で命を奪えるように、使う人の意思で全く違う結果を生み出します。
2017年に俳優の千葉雄大さん主演で放送され、人気になった「ファイナルファンタジー14 光のお父さん」というテレビドラマがあります。「ファイナルファンタジー14」は人気のオンラインゲームで、同作を遊ぶマイディーさんのブログ「一撃確殺SS日記」(http://sumimarudan.blog7.fc2.com/blog-entry-2019.html)が元になっています。ゲーム好きの父に、息子が正体を隠して一緒にオンラインゲームをプレーするという内容です。
マイディーさんはブログで「オンラインゲームというのは悪い事ばかりじゃないんだよ。考え方や受け取り方、活かし方で 人生においてこんなに素晴らしい物になるんだよ」と趣旨を明かしながら、父が生きているうちに親孝行できたことを喜んでいます。
私も約15年前、オンラインゲーム「ファンタシースターオンライン」で、私が“キューピッド”になった経験があります。フレンド(ゲーム内の友達)と、いとこが実世界で結婚し、私は結婚式で祝辞を読まされました。このようにオンラインゲームがきっかけで、本当に結婚した例はさほど珍しくありません。
今では、スマートフォンが普及し、老若男女が手軽にオンラインゲームを楽しめます。今回の事件の元になったのは、各社の報道から見る限り、スマートフォン用ゲームでしょう。そのスマホゲームは、国内だけで年間1兆円を稼ぎ出す超巨大市場でして、多くの雇用を生み出して経済を潤しています。新型コロナウイルスの感染拡大で自宅待機を強いられストレスがたまる中で、ゲームは多くの人を楽しませてくれました。世界的に大ヒットした「あつまれ どうぶつの森」もネットに接続でき、オンラインゲームにもなります。
しかしオンラインゲームがツールである以上、「未成年を連れ出そう」という悪意を持つ人がいる限り、同様の事件が今後も起こる可能性はあります。対策としてオンラインゲームを全面禁止にしたとしても、「出会い系」を目的にしたチャットアプリなどもあるわけです。突き詰めると、インターネットがある限り、同種の事件は起こりうる……という結論にしかなりません。
未成年の誘拐を阻止したり、少しでも減らす方策はないでしょうか。